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日本・バチカン80周年:「金継ぎ」のデモンストレーション

日本とバチカンの国交樹立80周年を記念し、「金継ぎ」のデモンストレーションがバチカンとローマを会場に行われた。

 日本とバチカンの国交樹立から80周年を迎えた2022年、「結ぶ」「絆」「出会い」などをテーマに、この一年間を通し様々な文化的記念行事が催されてきた。

 これらのテーマを反映するもう一つのイベントとして、11月21日(月)、「金継ぎ」のデモンストレーションが、バチカン市国内のコレッジョ・テウトニコで開かれた。

 在バチカン日本国大使館主催によるこの集いでは、漆芸修復師の清川廣樹氏を招き、漆を中心とする自然素材を使用した日本の伝統的修復技術「金継ぎ」を、基礎知識のレクチャーと共に、その工法の実演を交えて紹介した。

 清川氏は、一枚の皿が古来の技法で修復されていく様子を実際に見せながら、その各作業過程を説明。

 同時に、金継ぎの歴史や、物を大切にし、欠けや割れを隠さず、「継ぐことで『新しい景色』を与え、それによって生まれる美を愉しむ」という心、自然素材を用い、気温や湿度の繊細な変化を感じつつ、自然と一体となって行う作業、職人の「技」を後世に伝えていくことの重要さなどについて語った。

 参加者らは、金継ぎの中で重要な役割を果たしている漆の貴重さ、漆と日本人との長く深い関わり、作業で使われる様々な道具や素材などについても興味深く耳を傾けつつ、積極的に質問を行っていた。

 この集いに出席したバチカン美術館のバルバラ・ヤッタ館長は、修復に携わってきた自らの経験や、バチカン美術館が力を入れる高度な修復技術の追求に触れながら、世界に共通する修復への情熱や忍耐、また金継ぎという日本独特の技術への関心について述べた。

 岡田誠司・在バチカン日本国特命全権大使は終わりの言葉で、世界の様々なところでひび割れができ、それをいかに修復するかが問われている今日の情勢を前に、金継ぎについての話を聞き、その作業を見たことの意義深さを指摘していた。

 金継ぎのデモンストレーションは、翌日22日(火)、ローマの日本文化会館においても行われた。

23 11月 2022, 11:07