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ミサにおける教皇フランシスコ ミサにおける教皇フランシスコ  (Vatican Media)

ローマの司教、一致の奉仕者

教皇庁キリスト教一致推進省は、教皇の役割と教皇の首位性の行使をめぐるエキュメニカル対話の成果をまとめた文書、「ローマの司教」を発表した。

VATICAN NEWS

 教皇庁キリスト教一致推進省は、文書「ローマの司教」を発表した。
 同文書は、第二バチカン公会議後の歩みの中、およそ30年前、教皇ヨハネ・パウロ2世の招きに応えて始まった、教皇職をめぐるエキュメニカル対話の成果をまとめたものである。
 その目的は、他のキリスト教諸教会と分かち合える教皇の首位性の行使の形を探求することにある。
 たとえ、すべての神学的対話が「そのテーマを同じレベルで、あるいは同じ深さで扱った」ものではないとしても、この最も議論されてきた神学問題への「新しいアプローチ」をしるすことは可能である。 
 これらの神学的対話の実りの一つは、歴史的にキリスト教の一致の妨げとなってきた「ペトロをめぐるテキスト」のあらたな解読である。
「対話のパートナーたちには、その後の教義的発展の時代錯誤な影響を避け、使徒たちの間でのペトロの役割を再考することが願われた」。

首位性の起源

 議論の中心となっている問題の一つは、ローマの司教の首位性について、カトリック教会は神権的制度と理解しているのに対し、大部分のキリスト教教会はそれを単に人権的制度でと解釈している点である。
 同文書によれば「エキュメニカル的な解明は、この伝統的な二分法に新しい視野をもたらすことに貢献した」。
 それは首位性を、神権的、人権的な双方の立場から、「教会に対する神の御旨の一部として、また人類の歴史を通し媒介されたものとして」考えるものであった。

第1バチカン公会議

 重大な障害は、第1バチカン公会議の教義的な定義に表されるものにあった。
 いくつかのエキュメニカル対話は、第2バチカン公会議の歴史的背景と教えに照らし、この公会議の「再読」に取り組む上での「有望な進展」をしるした。
 こうして、教皇の普遍的権限の教義的な定義に、「その範囲と限界を特定しつつ」異なる解釈が与えられた。
 同様に、「無謬性の教義の論述を明確にすると共に、キリスト者の一致は真理と愛における一致であるがために、その目的のいくつかの面に同意し、ある状況下では、教導職の個人的な行使の必要性をも認識した」。
 同文書は、これらの解明にも関わらず、「対話は、無謬性と福音における首位性との関係、全教会の完全性、司教の合議制の行使、および容認の必要について、依然として懸念を表明している」ことを認めている。

教会の和解のための役務

 多くの神学的対話は、「普遍的なレベルでの首位の必要」を認めている。
 一部の対話では、使徒的伝承に言及しつつ、教会のその起源から、キリスト教は特定の位階を占めるいくつかの使徒座の上に成り立ち、その使徒座の間でローマが首位であると主張している。
 いくつかの対話は、教会生活のあらゆるレベルにおいて首位とシノドスの間に相互の依存があることを強調している
 対話の恩恵があったもう一つの議題は、実際的な性質のテーマで、グロバリゼーションと宣教上の必要という今日的状況に関連したものである。

首位性とシノドス性

 対話を通し、21世記における首位性の行使のためのいくつかの原則が見極められた。
 「最初の一般的な合意は、教会のあらゆるレベルでの、首位とシノドスとの間にある相互の依存と、それに伴う首位の協働的な態度の必要である」。
 さらなる合意は、「すべての信者の信仰感覚に基づく『共同体的』な側面と、特に司教の協働性に表される『恊働的』な側面、そして、首位権的機能によって表される『個人的』な側面」のつながりに関するものである。
 多くの対話の中では「地方レベルと普遍レベルにおける首位性の行使のバランスの必要」が強調された。
 またこの中で、総主教たちによる古代教会のモデルからインスピレーションを受けた、地方分権化への招きがあった。
 相互援助の原則も強調された。「ローレベルで適切に対応できる問題は、ハイレベルにもたらされることはない」。
 いくつかの対話は、カトリック教会との「多様性における一致」の受け入れ可能なモデルを定義するためにこの原則を適用している。

作業をめぐる示唆

 最初の提案は、カトリック教会側による、第1バチカン公会議の教えの新たな解釈である。
 また、ローマの司教の様々な責任、「特に、西方教会における長としての役務と、諸教会の交わりにおける一致の首位的役務」をより明確に区別するように提案があった。
 そして、教皇にとっての部分教会であるローマ教区での役務の行使により重点を置いた考察の必要である。
 もう一つの勧告には、カトリック教会のシノドス性の発展に関するものがあった。それは特に「各国および各地域でのカトリック司教協議会の権限と、彼らのシノドスとの、およびローマ教皇庁との関係のさらなる考察」を勧めている。
 普遍的レベルでは、シノドスの歩みにおける神のすべての民のより良い関与の必要性を強調するものがあった。
 最後の提案は、「世界レベルでの諸教会の指導者の定期的会合を通した『和解の交わり』の促進」をめぐるものであった。

13 6月 2024, 14:39