検索

教皇フランシスコ 2023年9月23日 マルセイユ訪問後、帰国便機内での記者団との対話で 教皇フランシスコ 2023年9月23日 マルセイユ訪問後、帰国便機内での記者団との対話で  (VATICAN MEDIA Divisione Foto)

マルセイユ訪問からの帰国便で、教皇、記者団と対話

教皇フランシスコは、マルセイユ訪問終了後、帰国便の機内で記者たちと対話された。

 教皇フランシスコは、9月23日(土)、マルセイユ訪問を終え、ローマに戻る特別機の機内で、随行の記者団と対話された。

 この中では、移民問題、生命倫理、ウクライナの平和がテーマとなった。

 教皇フランシスコは、在位の初期にイタリア南部ランペドゥーサ島を訪問して以来、移民問題に対し、無関心でなく連帯をと、ヨーロッパに10年間アピールし続けてきたが、それは失敗したということか、という問いかけがあった。

 これに対し教皇は、そうではない、と回答。その効果は少しずつ現れ、今日では移民問題に対する認識が育ち、移民問題が「熱いじゃがいも」のようにどのように扱うべきかもわからないレベルに達したことも理解されている、と話した。

 この対話の中で、教皇は特に送り返された移民たちが強制収容所に入れられ、以前より劣悪な状態に置かれていることに懸念を表明。

 ヨーロッパに渡ると言って消息を絶った弟の足跡を追うジャーナリストの旅の体験が描かれた本『Hermanito』(Arzallus Antia Amets, Balde Ibrahima共著)に言及しつつ、教皇は移民たちが体験している搾取、人身取引、隷属の恐怖に思いを向けられた。

 わたしたちは物事を見もせずに、移民たちを卓球のボールように送り返している、だからこそ、わたしは、移民は受け入れられ、寄り添われ、助けられ、統合されるべきという原則を繰り返している、と教皇は答えられた。

 マルセイユで教皇とマクロン仏大統領の会見が行われたが、フランス政府が現在、議論のある(積極的安楽死などを認める)終末期法案を準備・法制化しようとしていることについて、安楽死に反対を表明している教皇は、同大統領と何を話したのか、という問いがあった。

 この問題をめぐり、教皇は、今回はそのテーマに触れなかったが、以前マクロン大統領がバチカンを訪れた際、生命はその最初から終わりまで、決してもてあそんではならないとの意見をはっきり伝えた、と答えた。また、それは自分の意見だからではなく、生命を守ることだからだ、と話した。

 教皇は、わたしたちは人命を脅かすイデオロギーの植民地化に注意すべき、と警告。たとえば、祖父母と孫の対話を通した伝承の中に人類の豊かさがある一方で、年寄りだから、役に立たないからと、祖父母たちの命が消されている、と語った。

 ウクライナの状況をめぐり、ズッピ枢機卿は教皇特使として赴いた北京から帰ったばかりだが、子どもたちの返還の問題など、このミッションに進展はあるのか、これまで何の結果も引き出せないように見えるが、フラストレーションを感じているか、という質問が教皇に向けられた。

 教皇は、いくらかのフラストレーションは感じている、なぜなら国務省はできる限りの努力をしているからだ、と答えた。一方で、子どもたちの問題に関しては、順調に進んでいることも多少ある、と話した。

 ウクライナの人々は、苦しみに満ちた歴史を持つ、殉教者的な人々であると述べた教皇は、その苦しみはこれが初めてではないと、スターリン時代にウクライナの人々が被った深刻な苦難に触れた。

 教皇は、わたしたちはこの民の殉教を見過ごしてはいけない、より現実的な、できる限りの手段で、解決を助けなければならない、と強調された。

24 9月 2023, 15:33