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「人間を中心に据えた新しい舞台の主役に」教皇、大学生らに

教皇フランシスコは、訪問中のリスボンで、ポルトガルの大学生たちとの集いを持たれた。

 カトリック教会の「ワールドユースデー(世界青年の日)リスボン大会」のためにポルトガルを訪れた教皇フランシスコは、滞在2日目の8月3日(木)より、様々な形での若者たちとの出会いを始められた。

 3日朝、教皇はまず、リスボン市内のポルトガル・カトリック大学で、学生たちとの集いを持たれた。

 1967年に創立され、1971年に政府から認可された同大学は、ポルトガルにおける最初の私立大学となった。

 この日、大学構内の広場で行われた教皇との集いには、学生や教員およそ6500人が参加。同大総長の挨拶に続き、学生の代表らが、大学生活や、今日の世界の問題に対する関心や思いを、環境・経済・教育などの観点から語った。

 教皇は学生たちに、「探し求め、リスクを負いなさい」と励ましをおくり、現代が抱える膨大な問題と、そのための苦しみのうめきは、死に瀕したうめきではなく、生み出すためのうめき、終わりではなく、始まりのしるしと考えるべき、と勇気づけられた。

 そして、教皇は学生たちに「いのちのダンス」を振り付ける者となり、人間を中心に据えた新しい舞台の主役となって欲しい、と願われた。

 また、教皇は、大学は一部の限られたエリートを作るシステムではないと述べ、知識を「責任」として受け取らないならば、学んだことは虚しいものになる、と注意を促された。

 そして、学位は自身の幸せを築くためだけではなく、正義と受容に満ちた、真の意味で発展した社会に貢献するための委任状だと捉えなくてはならない、と教皇は話された。

 特に環境問題について、教皇は人類が共に暮らす家=地球に対するいたわりは急務であるとしながらも、深い回心と、経済・政治の基礎への人間学的ビジョンを持った改革がない限り、それは不可能であると強調。

 地球の苦しみと共に、貧しい人々の苦しみにも耳を傾ける、統合的なエコロジーの必要をアピールされた。

 教皇は若者たちに、自らの生き方の選択を通して信仰を信頼しうるものとするように希望され、説得力ある生き方を産まない信仰は、世界のパン種を膨らませることはできない、と語られた。

 カトリック系大学とは、専門の知識を取得しつつ、自らを知り、自分の道を識別する中で人間として成熟する場所であると述べた教皇は、中世の巡礼者たちがサンティアゴへの道を歩む中で交わしたとされる挨拶「Ultreia(より先へ)」「et Suseia(より高きへ)」を、学生たちへの励ましの言葉とされた。

03 8月 2023, 15:21