検索

ロケット砲攻撃を受けたウクライナ南部ミコライウの住宅街 2022年10月撮影 ロケット砲攻撃を受けたウクライナ南部ミコライウの住宅街 2022年10月撮影 

教皇「戦争を未来にではなく、過去に属するものに」

教皇「戦争を未来にではなく、過去に属するものに」

 ニューヨークで行われた国連安全保障理事会の会合で、6月14日、教皇フランシスコの演説が代読された。

 この会合は、「平和の推進と支援における人類の友愛の価値」をテーマにしたもので、アントニオ・グテーレス国連事務総長や、アル=アズハル・モスクのグランド・イマーム、アフマド・アル・タイーブ師らが出席した。

 教皇フランシスコは入院中のため、この会合に寄せた演説文は、バチカン外務局長ポール・リチャード・ギャラガー大司教によって読み上げられた。

 教皇はこの中で、「今日のグローバル化された世界において、人々の距離は縮まったが、それによってより兄弟的になったとは言いがたく、むしろわたしたちは兄弟愛の欠如に苦しんでいる」と指摘。

 そこでは、利己主義や、消費主義、物質主義などが、社会の絆をもろくし、弱い立場の人々を「無用」な存在として軽んじ、疎外する「切り捨て」のメンタリティーを助長している、と記された。

 しかし、「兄弟愛の欠如がもたらす最悪のものは、武力闘争や戦争である」と教皇は述べ、それらは個人だけでなく人民全体を対立させ、世代にわたりネガティブな影響を及ぼすことになる、と説いている。

 経済の視点から、時に平和よりも戦争に惹かれる者たちがいても、それは全市民の幸福を犠牲にして、ごく一部を富ませるためであり、武器の取引で得た儲けは無実の人々の血に汚れたものである、と教皇は述べている。

 「戦争をするよりも平和を求める方が、対立よりも出会いのために働く方が、多くの勇気を必要とする」と記す教皇は、「平和を築くためには、戦争を正当化する論理から抜け出す必要がある」と強調。

 「特に、核兵器と大量殺戮兵器によって戦争は限界を超え、これらが大惨事をもたらしかねない今日、真剣に戦争に『ノー』と言う時がやって来た。正しい戦争はない、正しい平和があるのみと確認する時が来た。安定した恒久の平和は、威嚇的な危険な均衡の上にではなく、わたしたちを結びつける兄弟愛の上に築かれる。」

 「真に求めるならば、平和は可能である。歴史の中に新しい平和のページを記すにはまだ間に合う。こうして戦争を、未来にではなく、過去に属するものにしなければならない。」

 教皇は演説文の中でこのようにアピールされている。

15 6月 2023, 18:50