教皇「出生率減少の問題は、希望をめぐる問題」
教皇フランシスコは、5月12日、ローマで開かれた、出生率をめぐる会議に参加、意見を述べられた。
バチカンの聖ペトロ広場からほど近い多目的ホール「アウディトリウム・デッラ・コンチリアツィオーネ」で行われたこの会議は、イタリアにおけるここ数年の人口と出生率の減少傾向について考えるもので、今回で3度目の開催となる。
一方、教皇は同会議には、2021年に続き2度目の参加となった。
教皇はこの席で、出生率は人々の希望を測るための物差しの一つである、と述べ、出生率の低さは希望の少なさ、未来への信頼が弱まっていることを示していると話された。
「今日、子を持つことは、家族の肩にのしかかる冒険のように思われており、この傾向は不確かさの中を生きる若い世代のメンタリティーに影響を与えている」、「家庭を計画することが、膨大な努力に変わってしまった、そうした社会的環境を人々は生きている」と教皇は指摘。
人が誰にも助けを求められず、自分の力だけに頼らざるを得ないのは危険であり、それは、共同体的生活が侵食され、それぞれが自分のことを考えなくてはならないという諦めの状況を意味していると語られた。
たとえ無数の家族が、その生き方と選択をもって、家庭を持つことの素晴らしさを証ししているとしても、彼らの英雄性だけに頼らない、先見性ある政策が今必要とされている、とアピールされた。
また、教皇は、わたしたちの社会が子どもや家族を生み出す力を失い、悲しみだけを生んでいること、若者たちが家庭の夢の実現に苦労し、願望の基準を下げながら、それをお金や成功や旅行などの個人的な満足にとどめている状況は容認できない、と話された。
家族を持つという大きな計画の中に入ってこそ、人は自分を後回しにして、自らをまわりの人々に与えることが可能になる一方で、単なる個人的満足の中にとどまるならば、それは内的な疲弊をもたらすことになるだろう、と教皇は語られた、
「出生率減少の問題は、希望をめぐる問題である」と述べた教皇は、その希望とは単なる楽観主義や未来へのポジティブな感情ではない、「善に向かって取り組みたい、自分と他者の人生に意味を与えたいという気持ち」であると説かれた。
教皇は「未来の種を蒔く」というビジョンをもって皆が努力することの大切さを強調された。