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バーレーン・フォーラム:教皇「分裂する人類が共に航海できるように」

教皇フランシスコは、「対話のためのバーレーン・フォーラム」に出席、スピーチを行われた。

 教皇フランシスコは、バーレーンで開催された「対話のためのフォーラム」に参加された。

 東洋と西洋の人類の共存を主題とする「対話のためのバーレーン・フォーラム」(アワリ、サヒール宮殿、11月3日〜4日)は、イスラム長老評議会や平和的共存のためのキング・ハマド・グローバル・センターなどが中心となり企画されたもので、対話の橋の構築を目的に、グローバルな共存と人類の兄弟愛の推進、今日の課題に対する宗教者の役割、諸宗教対話、世界平和の追求等について考察が行われた。

 教皇は、11月4日、同フォーラムの閉会行事に出席、ハマド・ビン・イーサ・アール・ハリーファ国王とアル=アズハル・モスクのグランド・イマーム、アフマド・アル・タイーブ師に迎えられた。

 サヒール宮殿の庭園に案内された教皇は、国王と共に一本の木に水をそそぐという、象徴的なセレモニーを行われた。

 宮殿の広場で行われたフォーラムの閉会式で、教皇は諸宗教のリーダーや政治家らを前にスピーチを行われた。

 この中で教皇は、「バーレーン」の国名が「二つの海」を意味することに着目、「地が分かつものを、海が一つにする」という古い言葉を引用しつつ、様々な土地や人々を結びつけている海の水に思いを向けられた。

 わたしたちの地球を高いところから眺めるならば、それは異なる岸を同時に結ぶ広大な青い海として映り、その光景はわたしたちがただ一つの家族であることを思い出させるだろう、と教皇は語った。

 それにも関わらず、今日の人類はいまだかつてないほどに相互に「つながり」ながらも、一致とはほど遠い、分裂を生きている、と教皇は指摘。

 東洋と西洋はまるで対立する二つの海のように見えるが、それに対し、わたしたちは対立とは異なる、出会いと対話の針路をとりながら、同じ海を航海するするためにここにいる、と話された。

 二つの恐ろしい世界大戦と一つの冷戦を経た後も、世界の各地で破壊的な紛争は続き、わたしたちは今にも崩れそうな均衡状態の中にある、と教皇は述べつつ、世界の多くの人が食糧危機や環境問題、パンデミックなどで苦しんでいる一方で、ごく少数の権力者たちが自分たちの利益の闘いに没頭し、人類の園は皆に大切にされるどころか、火遊びの舞台となり、武器が人々に涙と死をもたらし、わたしたちの「共通の家」を灰と憎しみで覆っている、と語られた。

 こうした荒れる海を前に、神と兄弟たちに信頼を置くわたしたちは、人類のただ一つの海を無視し自分の潮流だけを追う「孤立の思想」を退けるためにここに集い、東西の対立の構図を皆の善のために改めながら、劇的に拡大するもう一つの分裂、世界の南北の格差にも注意を向け続けている、と教皇は説いた。

 教皇は、宗教者たちの課題は、互いに関係しながらも分裂している人類が皆共に航海できるよう励ますことであると述べ、そのために必要なものとして、祈りの精神、女性や子供たちの保護も含めた市民の権利・義務と兄弟愛の教育、そして戦争や暴力にノーと言う力を挙げられた。

 創造主は、力ある者たちが注意を向けない人々、特に貧しい人々や、生まれてくる子どもたち、高齢者、病者、移民らのために行動するようにと招いている、と述べた教皇は、わたしたちが神への礼拝を兄弟や隣人への具体的な愛と一致させることで、共存と一致の預言者、平和の構築者となることができるようにと、神の助けと照らしを祈られた。

04 11月 2022, 13:20