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カナダからの帰国便機内で記者団と話す教皇フランシスコ 2022年7月30日 カナダからの帰国便機内で記者団と話す教皇フランシスコ 2022年7月30日  (Vatican Media)

教皇、カナダ訪問の帰国便機内で記者と対話

教皇フランシスコは、カナダ訪問からの帰国便の機内で、記者団と対話された。

 教皇フランシスコは、カナダ訪問から帰国の際の特別機の機内で、随行の記者団と対話された。

 その中で、一人のカナダ人記者は、カナダの「真実と和解のための国立センター」が先住民の子どものための寄宿学校制度を「文化的ジェノサイド(文化的集団殺戮)」と定義し、後にこれを「ジェノサイド」と変更したが、教皇の赦しを願う言葉を聞いた人々は、教皇がこの言葉を使わなかったことに納得できないと言っている、と述べ、教会のメンバーがジェノサイドに関係したと言うことができるか、と尋ねた。

 これに対し教皇は、「ジェノサイドという言葉は用いなかったが、それを言い表し、それに対し赦しを願った」と答えた。「子どもたちを引き離し、文化や考え方、伝統や民族、すなわち文化全体を変えようとする、これは専門的な言葉でジェノサイドと言える。この言葉は頭に浮かばなかったために使わなかったが、わたしはそれを言い表した。確かに、これはジェノサイドである」と話した。

 また、メキシコの記者から、教皇にとってこのカナダ訪問は一つの健康上のテストでもあったが、一週間の訪問を終え、将来もこのような形で旅行し続けたいと思うか、という問いかけがあった。

 教皇は、「以前と同じようなリズムで訪問旅行に行くことはできないだろう。わたしの年齢でこうした制限を持っているならば、教会に奉仕するためには、少し控えめにしなくてはならないと思う」と述べる一方、「訪問を続け、人々に寄り添うための方法を探したい。近く寄り添うこと、それは奉仕の一つのあり方だからだ」とも話した。

 カザフスタンや、ウクライナ訪問の件はどうなったか、との質問に、教皇は、「わたしはウクライナに行きたいと言った。(バチカンに)帰ってから状況を見たい。カザフスタンは、今のところ、行けたらよいと思っている。この訪問は、宗教者会議のためで、動きの少ない落ち着いた旅だ。だが、現在まだ保留の状態だ。コンゴと同様、南スーダンにもいかなくてはならない。これはカンタベリー大主教と、スコットランド国教会の指導者と共に行く訪問だからだ。しかし、雨季があるので、来年になるだろう。わたしは大いに意志はあるのだが、足の具合を見なくてはならない」と語った。

 さらに、教皇は、このところの健康問題などで、もう引退の時かと思ったことはあるか、とある記者から問われた。

 教皇は「ドアは開いている。それは一つの普通の選択肢だが、今日までこの扉を叩いたことはない。その部屋に入るとは言っていないし、その可能性を考える気持ちはない。しかし、将来それを考えない、という意味ではない。ただ、今ははっきり言って考えていない。この訪問もテストのような面があった。確かにこの状態で旅行することはできない。訪問のスタイルを変えるなり、減らす必要がある。旅行の代償をこれから払い、(体調を)再び整えなくてはならない。しかし、それを言うのは神だ。扉は開いている、それは本当だ」と述べた。

30 7月 2022, 14:54