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教皇フランシスコ、バチカン駐在外交団に新年の挨拶 2022年1月10日  教皇フランシスコ、バチカン駐在外交団に新年の挨拶 2022年1月10日   (Vatican Media)

教皇、平和のために対話と兄弟愛を強調、駐バチカン外交団に

教皇フランシスコは、バチカン駐在外交団に新年の挨拶をおくられた。

 教皇フランシスコは、1月10日(月)、バチカン駐在の外交団と新年の挨拶を交換された。

 この朝、バチカンの祝福の間には、世界各国の大使らが一堂に会した。

 現在、バチカンと外交関係を持つ国は183カ国、これらに欧州連合、マルタ騎士団が加わる。

 教皇は外交団への言葉で、世界情勢を見つめつつ、パンデミック、移民、気候変動、紛争と軍縮、教育、労働など、幅広く今日の諸問題を取り上げられた。

パンデミック 

教皇は、このところの新型コロナウイルスの感染状況をふまえ、パンデミックとの戦いにはいまだ皆の多大な努力が必要と述べ、パンデミックが社会的孤立と犠牲者を生んでいる一方で、ワクチンの普及が進められた場所では病状の重症化が減少している現状に言及。

 人々にできる限り免疫を獲得してもらうためには、個人、政治、国際社会のそれぞれのレベルにおける様々な努力が必要、と話された。

 人は自分の健康に責任を持つと共に、まわりの人の健康をも尊重しなくてはならない、と教皇は述べ、パンデミックへの対応をめぐり、しばしば裏付けのない情報で築かれたイデオロギーに影響される風潮を残念なことと語られた。

 ワクチンは回復のための魔法のような道具ではないが、開発された治療と合わせ、この感染症に対する最も理にかなった解決法であると述べた教皇は、政治関係者に感染防止と免疫獲得のための政策を通し人々を守るよう、また国際社会に対し世界のすべての人が平等に基本的な医療ケアとワクチンにアクセスできるよう、総体的な取り組みを促された。

移民問題

 教皇は、国家元首・政府首脳らとの出会いや海外訪問など、昨年のご自身の国際外交を振り返る中で、7月にバチカンで行われた「レバノンのための考察と祈りの一日」を思い起こし、同国の経済・政治危機のために祈ると共に、国際共同体の支援を改めて願われた。

 また、教皇は3月に訪れたイラクの人々が尊厳と平和のもとに生活できるよう祈られた。

 さらに、教皇は9月のハンガリーとスロバキア訪問、12月のキプロスとギリシャ訪問をエキュメニカル・諸宗教対話の機会として示された。

 特にギリシャのレスボス島の移民施設での人々との出会いに触れた教皇は、祖国を離れざるを得なかったこれらの移民たちを前に、無関心でいたり、壁を築くことはできない、と述べる一方、移民の受け入れと保護を行う政府や市民に感謝を表された。

気候変動

 教皇は気候変動問題について、多くの絡み合い複雑化した課題を前に、解決策の断片化が広がっていることに憂慮を示された。

 同問題への対応において、対話の窓を開き、兄弟愛の絆を構築する意志の欠如が見られると述べた教皇は、「一つの人類という家族」としての共通のアイデンティティーの意味を取り戻す必要を説かれた。そして、こうした中、国際共同体に、共通の解決策を見出し、それを実行に移すための積極的な努力を望まれた。

 英国のグラスゴーで開催されたCOP26会議をめぐり、適切な方向性においていくつかの進展が見られたことを教皇は評価しつつも、対応すべき課題の重大さに対しその成果はいまだ弱いもの、と意見された。

 パリ協定の目標達成への道は長く険しく、それに対し残された時間は少ないように見えると話した教皇は、グラスゴー会議での決定事項をいかに強化できるかを見極めながら、2022年11月、エジプトで開催予定のCOP27に向けてさらなる取り組みを励まされた。

紛争と対話

 教皇は、対話と兄弟愛を現代の危機を乗り越えるための本質的要素として示す一方、国家間の建設的対話の努力にも関わらず、戦争は止むことがないと述べ、時に代理戦争の様相をも帯びた、終わることのない紛争に解決を見つけることは、全国際共同体の急務であると話された。

 教皇は、特にいまだ内戦の続くシリアに言及。同国に再生をもたらすためには、政治と憲法の改革が必要であると同時に、シリアへの制裁が国民の日常生活に直接影響を与えないことが大切、と述べた。

 また、イエメンにおいて、内戦と人道危機がメディアの報道から取り残され、国際社会の無関心の中で静かに進行し、女性や子どもをはじめ多くの犠牲者を出していることを忘れてはならない、と教皇は訴えられた。

 教皇はイスラエルとパレスチナが二つの国家として、相互のゆるしのうちに憎悪と怨恨を持つことなく、平和と安全のもとに共存できるよう、昨年は見られなかった平和プロセスの今後の進展を願われた。

 教皇は、アフリカのサヘル地域におけるテロリズム、スーダン、南スーダン、エチオピアの内戦に和解と平和を願われた。

 また、ウクライナとコーカサスの緊張に解決を見つけると共に、ボスニア・ヘルツェゴビナをはじめとするバルカン地域に新たな危機がもたらされることを防ぐ必要を説き、危機の勃発から間も無く1年となるミャンマーに対話と兄弟愛をアピールされた。

軍縮

 教皇は、これらの紛争を容易にしている背景として、大量の武器の供給と、それを流通させる者たちの無責任さを指摘。武装は制止力の役割を果たすためだけに必要であるとの考えは幻想であり、武器を持つ者はいずれそれを使うことになると、歴史が教えている、と語られた。

 武器の中でも、特に核兵器に対する大きな憂慮を示された教皇は、米国・ニューヨークで先日開催予定であった核拡散防止条約再検討会議がパンデミックの影響で延期されたことに言及。教皇は、核兵器のない世界は可能であり必要であると強調しつつ、同会議がこの目標を目指す有意義な一歩をしるす機会となることを希望された。

 教皇はこの機会に、21世紀において核兵器は安全への脅威に対応する手段として相応しくないものであり、その保有は倫理に反する、との教皇庁の立場を改めて表明された。

教育と労働

 教皇は対話と兄弟愛の文化を促進する要素として、教育と労働の大切さを強調された。

 教育は人間の統合的発達に最も重要な役割を担い、人を自由で責任ある者とし、対話を育み、文化を創造し、人民間の出会いの橋をかけるもの、と教皇は語った。

 カトリック教会は、若者の精神的・道徳的・社会的成長のために、常に教育の役割と価値を認識してきた、と教皇は述べ、それゆえに小教区や学校など、教育の場で起きた未成年者の虐待に対し、深く悲しんでいる、と話された。

 教皇は、このような犯罪に対し、真相を解明すると共に、責任を明らかにし、被害者の権利を認め、このような残忍なことが二度と繰り返されないように、断固とした意志をもって対応しなければならない、と述べられた。

 また、教皇は、自分に与えられた恵みの表現としての労働、同時に義務と努力、他者との協力でもある労働を、平和を築き守るための不可欠な要素、わたしたちがより良い世界への貢献を学ぶ場所として示された。

 こうした中、教皇は、パンデミック危機により大きな影響を受け、経済的・心理的に不安な状況に置かれた労働者と家族らに思いを寄せられた。

 外交団への新年の挨拶で、このように世界情勢を展望された教皇は、生活の中に平和を広げながら、互いに対話と兄弟愛を育み、人の心から心へ、そして世界へと平和を伝えていこうと呼びかけられた。

10 1月 2022, 18:06