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ダンテ・アリギエーリ ラファエロ画 バチカン宮殿・署名の間「パルナッソス」 ダンテ・アリギエーリ ラファエロ画 バチカン宮殿・署名の間「パルナッソス」  (FOTO © GOVERNATORATO SCV - DIREZIONE MUSEI VATICANI)

ダンテ没後700年に教皇の使徒的書簡

イタリアの詩人、ダンテ・アリギエーリの没後700年にあたり、教皇フランシスコは使徒的書簡を発表された。

 今年は、イタリアの詩人、「神曲」の作者として知られる、ダンテ・アリギエーリ(1265-1321)の没後700年を迎える。

 イタリアでは、毎年3月25日を「ダンテの日」として、文学史にそびえるこの偉大な詩人を記念している。

 教皇フランシスコは、ダンテ没後700年にあたり、25日、使徒的書簡「カンドール・ルチス・エテルネ」(永遠の光の輝き・純粋さの意)を発表。この中で「神曲」の持つ今日性、永遠性、そして深い信仰を強調している。

 イザベラ・ピロ – バチカン市国

 愛するフィレンツェを後にし、苦悩に満ちた亡命生活の中で、1321年、ダンテがラヴェンナで没してから700年が過ぎた。しかし、ダンテは今日も語りかけ、彼の作品を読み、研究するだけでなく、彼に倣い、その至福への旅、神の無限で永遠の愛に向かう歩みを始めるようにと、わたしたちに呼びかける。「神のお告げ」の祭日、3月25日に発表された、教皇フランシスコの使徒的書簡「カンドール・ルチス・エテルネ」は、このように記している。

 教皇のダンテをめぐるこの書簡が「神のお告げ」の祭日に発表されたことは偶然ではない。教皇は、マリアの「はい」から始まった神の御子の受肉の神秘こそ、「神曲」全体の「真のインスピレーションの中心、本質の核をなすもの」であり、「神曲」は、神をたたえ、「わたしたちの歴史に人となって入られた神」と「神の中に真の幸福を見出し、神において引き上げられた人類」間の「奇跡的な交差」を実現した、と述べている。

 9節に分けられた同書簡の冒頭で、教皇フランシスコは、前世紀から今世紀までの歴代教皇らのダンテに寄せる思いをたどっている。

 そして、教皇フランシスコは、ダンテの生涯に人類が置かれたあらゆる様相を見出しながら、その作品の「今日性と永遠性」を強調。ダンテの作品は、わたしたちの文化の一部であり、西洋のキリスト教的起源を思い出させるだけでなく、「わたしたちが皆兄弟と認め合う」ための「人類の共存の基礎」として今日の教会と社会が提起する、理想と精神を象徴するもの、としている。

 教皇は「神曲」の二つの柱として、「人間の魂が持つ欲望、本能」と「愛である神のビジョンから来る幸福」を挙げる。この作品は、人類を罪の「暗い森」から解放し、「歴史における生命の充満」と「神における永遠の至福」に到達するための、「まっすぐな道」を見つけるように励ますがゆえに、ダンテは「希望の預言者」である、と述べている。

 ダンテが示すその道は、まさに「巡礼者」の道であり、それは誰にとっても現実的で可能なものである。なぜなら、「神のいつくしみは常に、自分を変え、回心する可能性を与えてくれる」からである、と教皇は説いている。

 さらに、同使徒的書簡は、「神曲」の中で重要な役割を果たす3人の女性、すなわち、慈愛の象徴である神の母マリア、希望のシンボルであるベアトリーチェ、信仰の表象としての聖ルチアについて言及。三つの対神徳「信仰・希望・愛」を思わせるこの3人の女性たちは、ダンテの旅の様々な段階を見守るが、それは人間は「一人では自分を救えず」、「賢明と慎重をもって支え導く」存在を必要とすることを表している、と教皇は指摘。そして、マリアとベアトリーチェとルチアを動かしているのは常に、「わたしたちの救いの唯一の源」、「いのちと幸福を新たにする」神の愛である、と述べている。

 教皇はまた、「神曲」における、祝福された者たちによって形作られた天上の「純白の薔薇」の中の聖フランシスコについて触れつつ、アッシジの聖者とダンテの深い類似を指摘。それは彼らが「人々のもとに出かけ」民に向かって話したこと、ラテン語を用いずに「皆の言葉で」語りかけたこと、創造主の反映としての被造物の美しさと価値に自らを開いたことである。

 教皇は、天才的芸術家ダンテのヒューマニズムは今日も失われていないばかりか、「言葉、イメージ、シンボル、音」が織りなすそのメッセージは「わたしたちのマルチメディア文化の先駆け」であるとも語る。

 教皇は、「ダンテの作品のメッセージとその文化的・倫理的至宝を伝える」教師たちの情熱をたたえながら、この「遺産」を学校や大学の教室に閉じ込めることなく、キリスト教共同体や文化団体を通して、人々の間にますます広めていくことを願われた。

 また、教皇は芸術家たちに対し、「ダンテの詩の美の道行きに形を与え」、「平和・自由・兄弟愛のメッセージ」を伝えて欲しいと励ましている。そして、その課題は、闇と荒廃に覆われ未来への信頼の欠けた歴史上の今この時、これまでにない重要性を帯びている、と述べている。

 教皇は、「わたしたちの心が真の平和と喜びに出会うまで、すなわち、『太陽とその他の星を動かす』神の愛を見出すまで、落ち着きと勇気をもって、いのちと信仰の巡礼を続けていくことができるよう」、偉大な詩人ダンテの助けを願われた。

25 3月 2021, 15:31