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「イラクの教会は生きている」教皇、アルビルでミサ

教皇フランシスコは、イラク北部アルビルの競技場でミサを捧げられた。

 教皇フランシスコは、3月7日午後、イラク北部アルビルの競技場でミサを捧げられた。

 教皇は、イラク滞在3日目、北部の都市を相次ぎ訪問。早朝到着したアルビルから、モスル、そしてカラコシュへ、さらに午後再びアルビルに戻りミサを司式された。

 クルド自治区の中心都市であるアルビルの起源は、新石器時代とも銅器時代とも推定され、エブラ文書と呼ばれる粘土板の記述によれば、少なくとも紀元前2300年頃には定住が確認されることから、今日まで人が住み続ける最も古い都市の一つといわれている。

 今日のアルビルは、ここ数年、シリア難民の他、ISの占領から逃れるためにカラコシュ、モスルから避難してきたおよそ54万人のイラクの国内難民を受け入れてきた。

 教皇ミサの会場となったフランソ・ハリリ・スタジアムは2万8千人を収容するが、パンデミックの影響から、ミサは参加者数を1万人に制限してとり行われた。

 ミサの説教で教皇は、イエスが神殿から商人を追い出すエピソード(ヨハネ2,13-25)を観想。

 イエスは神殿の境内で商売している者たちを追い出したが、なぜイエスはこのような強い行動をとられたのだろうか、と教皇は問い、それは御父が神殿を清いものとするようイエスを遣わしたからである、と話された。

 「御父が清めるように望まれる神殿とは、石でできた神殿だけではなく、特にわたしたちの心のことである」と教皇は指摘し、御父はわたしたちの心が偽善や、いつわりの安心、都合の良い時だけの信仰などの汚れから清められることを願っておられる、と語られた。

 「心を清くするためには、手を汚さなければならない」とも述べた教皇は、「苦しむ兄弟姉妹を見過ごしにせず、自ら助けることが必要」であると共に、「イエスの力によって、わたしたちの心の神殿を悪から清め、修復していただくことが必要」と強調。「主は、わたしたちが救われ、兄弟愛・奉仕・いつくしみを通してご自身の愛の生きた神殿となることを望まれている」と説かれた。

 「この神殿を壊してみよ。三日で立て直して見せる」(ヨハネ2,19)とイエスが言われたのは、ご自分の体のことであったが、それはご自身の教会のことでもある、と教皇は述べ、「主はご自身の復活の力をもって、わたしたちとわたしたちの共同体を、不正義や、分裂、憎しみがもたらした瓦礫の中から立ち上がらせてくださる」と説いた。

 イラクの教会は、キリストのいつくしみと赦しをもって十字架の叡智を伝え、最も深刻な貧困と試練の時にも、困窮する人、苦しむ人に助けと連帯を惜しまなかった、と教皇は称賛され、それがご自分が実際にイラクを訪問し、信者たちに感謝し、その信仰と証しを強めたいと望ませた理由の一つであった、と話された。

 そして、「今日、イラクの教会は生きており、この聖なる忠実な民の中にキリストが生き、働いておられることを、この目で見、手で触れることができた」と教皇は語った。

 教皇は、御子の受難と死に付き添い、その復活の喜びに与った聖母マリアの保護に、イラクのキリスト教共同体を託して祈られた。

07 3月 2021, 19:27