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教皇フランシスコと駐バチカン外交団の新年の集い 2021年2月8日 教皇フランシスコと駐バチカン外交団の新年の集い 2021年2月8日  (Vatican Media)

教皇「兄弟愛は世界の問題に対する真の特効薬」

教皇フランシスコは、バチカン駐在の外交団と新年の挨拶を交わされた。

 教皇フランシスコは、2月8日、バチカン駐在の外交団と新年の挨拶を交わされた。

 この新年恒例の出会いは、今年は1月25日に予定されていたが、教皇の坐骨神経痛のために、この日に開催となった。

 会場となった広大な「祝福の間」には、新型コロナウイルス感染拡大防止の対応から、各国の大使らが間隔を置いて左右に並んだ。

 教皇は、大使らに向けた言葉で、現在のパンデミックが世界に与えた広範な影響と、この危機下にあぶり出された様々な問題を、医療・環境・経済・政治・人間関係などの観点から見つめ、この危機を新しい歩みを模索するための機会とするよう招かれた。

 医療のテーマにおいて教皇は、パンデミックは人間が避けて通ることのできない病と死という二つの面について考えさせ、受胎から自然の死に至るまでの、一人ひとりの命の価値と尊厳を思い出させる、と述べ、一方で、人生のあらゆる段階における命を守るという不可避の義務から遠ざかり、主観的な権利の保証を目指す法律が世界に増えていることに遺憾を示された。

 これに関連し、教皇は「ケアの権利」、貧しい人や疎外された人を救う責任を強調、医療福祉とケアの分野において利益の論理に引きずられることがないようにと願われた。

 また、教皇は、ワクチンが、貧しい人々をはじめ、すべての人に行き渡るよう、その平等な配給のための国際レベルの取り組みを希望された。

 このパンデミックの期間、環境問題の脆さをも見ることになったと述べた教皇は、環境問題に必要な長期的解決策と国際協力のために、グラスゴーで今年11月に開催予定の国連の第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)に期待を示された。

 教皇は、世界の環境問題の中でも、特に海面上昇の脅威にさらされる太平洋の島々や、深刻な洪水被害をに見舞われたベトナムやフィリピン、地球温暖化の影響を受けたオーストラリアやカリフォルニアの山火事に言及された。

 また、教皇は、アフリカのブルキナファソ、マリ、ニジェールにおける飢餓、南スーダンの子どもたちの栄養失調と人道回廊構築の困難に触れられた。

 次に教皇は、今日の経済的・社会的危機の多様な側面について話した。

 パンデミックによる自由な往来の制限は、営業や生産を縮小させ、中小企業を中心に業績、雇用にダメージを与え、それは家族や社会全体、特に最も弱い立場にある人々の生活に深刻な影響となって及んだ、と教皇は述べた。

 この危機は、現代の別の病、人と資源を搾取し切り捨てるという、経済構造を明るみに出した、と話す教皇は、今こそ人と経済の関係を再考する機会、と語った。

 そして、教皇は「人間に奉仕する経済」の必要を強調。人を殺すのではなく生かし、疎外せず受容し、非人間的ではなく人間性を持ち、環境を搾取せず守る経済のための、新しい大きな転換の必要を説かれた。

 次に、国境閉鎖と経済危機が、紛争地帯や気候変動や干ばつに苦しむ地域、さらに移民・難民キャンプにもたらした人道危機に触れる中で、教皇は、ティグレ地域から多くの人が避難するスーダン、他のサブサハラ諸国やモザンビークのカーボ・デルガド州などにおける、故郷を追われた人々の窮状を思われた。

 さらに、教皇は、深刻な情勢に加え、食料不足によって苦しめられるイエメンやシリアの人々、特に栄養失調の子どもたちを心配された。

 教皇は、国々への経済制裁がしばしば人道危機を重大化させているとし、制裁緩和と人道支援の強化を、また同様に貧しい国々の債務帳消し、もしくは返済額減額の必要を提示された。

 昨年2020年の移民増加をめぐり、教皇は、移民たちがたどるルートがより危険になっていること、移民の押し返しが増加していることを指摘。海や陸路で命を落とすか、送還先や収容所で虐待や人権侵害にあうかの、移民たちのリスクを指摘された。

 教皇は、この大きな危機において、移民を生じさせる根本の原因と向き合うことが急務と述べると共に、人命救助の義務を果たしている最初の受け入れ国への共同の支援の必要を訴えた。

 多くの社会に広がる政治危機は、パンデミックによりいっそう深刻化の相を呈した、と述べた教皇は、その危機の主な原因として、政治的対立と、問題を分かち合い共同解決するための力の欠如を挙げられた。

 そして、この傾向は、民主主義を伝統とする国々にも見られるようになったとし、生きた民主主義の維持は現代の挑戦である、と語られた。

 こうした中、教皇は、ここ数年の民主化の歩みがクーデターによって突然中断されたミャンマーの情勢に触れ、逮捕された政治家らの解放と、同国の善のための誠実な対話を願われた。

 ここ数年、多極化体制はある種の限界を見せた、と話す教皇は、パンデミックを組織改革の機会とし、国際機関が、すべての人の命と平和を守るために人類家族に奉仕するという本質的な召命に立ち返ることを望まれた。

 一方で、教皇は、最近発効に至った核兵器禁止条約、同様に、米国とロシア間の新戦略兵器削減条約(新START)の延長を、励ましのしるしとして見出された。

 2021年の希望として、教皇は、10年前に始まったシリア内戦の終結、聖地におけるイスラエルとパレスチナ間の問題解決のための信頼と対話の再構築、国内危機に面したレバノンの多様性と寛容ある独自のアイデンティティーの保持、同国のキリスト教徒の保護を願われた。

 また、教皇は、長い紛争に苦しむリビアの国内の和解を希望されると共に、中央アフリカの政治的・社会的緊張、ラテンアメリカにおいて人間の尊厳を傷つけている不正義と貧困、その根源にある深い不平等に憂慮を表された。

 同様に、教皇は、開城(ケソン)の南北連絡事務所の爆破を頂点とする、朝鮮半島の関係の後退を注意をもって見守っている、と述べられた。

 さらに、教皇は、昨年再勃発したものをはじめ、南コーカサス地域が抱える諸紛争が地域全体の安定と安全を脅かしていることを懸念された。

 教皇は、今日、全世界で発生し、多くの無実の市民の命を奪っているテロリズムをもう一つの現代の傷として示された。宗教施設がしばしばこうしたテロの攻撃の標的となっていることに対し、教皇は、信仰の場を守ることは信教の自由の保護の一部であり、政治的傾向や宗教の所属の違いを問わず、それは関係当局の義務である、と話された。

 教皇は、パンデミックがもたらした教育現場の危機にも言及。通常のように学校や大学に通えなかった児童や学生たちに思いを向けられた。

 教育上の災害ともいえる状況を、未来の世代と社会全体のために見過ごすことはできない、と述べた教皇は、社会を構成するすべての人が参与する、新な教育の取り組みが今日必要とされている、と語った。

 教皇は、パンデミックにより宗教が受けた影響にも触れつつ、人命を感染症から守る一方で、人々の霊的・倫理的な面を守ることも大切、と話された。

 2021年は早急な取り組みの時、と述べた教皇は、時間を無駄にせず、寛大さと努力をもって協力し合うことの必要を説いた。

 そうした意味で、兄弟愛はパンデミックや他の問題に対する真の特効薬であり、兄弟愛と希望こそが、今日の世界がワクチンと同様に必要としているものである、と教皇は強調された。

08 2月 2021, 17:24