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死者の日:教皇「神への信頼こそがキリスト者の希望」

カトリック教会の暦は、11月2日、死者の日を記念した。

教皇フランシスコは、カトリック教会の暦で死者の日を記念した、11月2日、バチカンのテウトニコ墓地に付属する教会でミサを捧げられた。

バチカンの聖ペトロ大聖堂の脇のテウトニコ墓地は、かつてネロ帝の競技場があった一角に位置する。この競技場では多くのキリスト教徒が殉教したことで知られ、この場所の墓地としての起源は、当時にさかのぼるとも言われている。799年、カール大帝によってフランク人の巡礼者のための施設が建てられた。1450年、聖年に合わせて墓地が手入れされ、さらに1454年、ドイツ人の聖職者らによって完全な整備が行われた。同墓地には、伝統的に、ドイツ系の人々が葬られてきた。

墓地に隣接してサンタ・マリア・デラ・ピエタ・イン・カンポサント・デイ・テウトニチ教会がある。

教皇のミサは、新型コロナウイルス感染拡大予防措置に従い、私的な形で、わずかな関係者のみの参加をもって行われた。

ミサの説教で教皇は、第一朗読「ヨブ記」(19,1.23-27a)の、弱り切ったヨブが、絶望の淵から、贖い主に深く信頼を寄せる場面を取り上げられた。

「わたしは知っている。わたしを贖う方は生きておられ、ついには塵の上に立たれるであろう」(ヨブ19,25)。

「わたしは神を仰ぎ見るであろう。このわたしが仰ぎ見る。ほかならぬこの目で見る」(ヨブ19,26-27)。

ヨブのこれらの言葉に見られる、神への信頼こそが、人生の終わりを前にしたキリスト者の希望である、と教皇は話された。

そして、この希望はわたしたちの力で得られるものではなく、「主よ、希望をください」と願い求めるべき恵みであると語られた。

人生には多くの困難があり、「すべてはもうおしまいだ」「死んでも後に何もない」と、時に絶望させられることもあるが、こうした時に、「わたしを贖う方は生きておられる…このわたしが仰ぎ見る。」というヨブの言葉がよみがえるだろう、と説かれた。

次に、教皇は、第二朗読(ローマ5,5-11)中の、使徒聖パウロの「希望は決して裏切りません」(ローマ5,5)という言葉を掲げ、わたしたちを人生へ、また永遠の喜びへと惹きつけ、意味を与える、神の恵みとしての希望の大切さを示された。

最後に教皇は、福音朗読(ヨハネ6,37-40)の、「父がわたしにお与えになる人は皆、わたしのところに来る」 (6,37)、「わたしのもとに来る人を、わたしは決して追い出さない。わたしが天から降って来たのは、自分の意志を行うためではなく、わたしをお遣わしになった方の御心を行うためである」(6,37-38)というイエスの言葉を観想。

「主はわたしたちを天国で迎えてくださる。そこにわたしたちの錨がある。綱を握りしめ、錨にしっかりつながりながら、希望のうちに生きよう」と招かれた。

教皇は、この死者の日、今は亡き多くの兄弟姉妹に思いを向けると同時に、天を見つめ、ヨブの「わたしを贖う方は生きておられる…このわたしが仰ぎ見る」という言葉を思い出そう、と呼びかけられた。

ミサ終了後、教皇はテウトニコ墓地で祈りを捧げられた。

02 11月 2020, 19:17