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教皇フランシスコ 2020年9月23日の一般謁見で 教皇フランシスコ 2020年9月23日の一般謁見で  (Vatican Media)

「相互の協力のもと、未来を共に築く」教皇一般謁見

教皇フランシスコは、一般謁見で、未来を共に築くための「補完性の原則」について考察された。

教皇フランシスコは、9月23日、バチカンで、水曜恒例の一般謁見を行われた。

この日は、曇りがちで時おり雨の降る天候となったが、会場のバチカン宮殿・聖ダマソの中庭には、教皇との出会いのために熱心な参加者らが集った。

謁見中、パンデミック危機における「世界のいやし」をテーマにしたカテケーシス(キリスト教生活に導くための、キリスト教要理の教え)で、教皇は、「補完性と希望」について考察された。

教皇は、医療を始め、社会、政治、経済に及ぶ現在の危機から脱するために、わたしたち一人ひとりが自分の責任を担うように招かれていると述べた。

そして、その招きに純粋な個人として応えるだけでなく、自分が帰属する共同体や、社会における役割、原則や信仰上の立場からも応えていかなくてはならない、と話された。

しかしながら、社会の中で疎外・無視されている人々や、経済的・社会的に埋もれた立場にある人々は、共通善の再構築に参与することができないという現実を教皇は指摘された。

こうした中、教皇は、1929年の大恐慌の後にピオ11世が回勅「クヮドラジェジモ・アンノ」で示した、「補完性の原則」の重要性に言及された。

「補完性の原則」(サブシディアリティ)は、上から下へ、下から上へと、2つのダイナミックな動きを持つもの、と教皇は説明。

個人や家庭、小さな組織や地域共同体が、本質的な目標に達することができない時、国家のような、より大きい社会集合体が、必要な財源や手段を供給するなどして、その前進を助けるのは正当なことであり、たとえば、新型コロナウイルス感染拡大防止を目的とした「ロックダウン」のために、経済的影響を受けた個人や家族や企業などに公的援助が行われたことは、これにあたる、と述べられた。

社会の指導層は、中間層あるいは弱い立場の人々を尊重し、擁護しなくてはならない。一方で、これらの人々は、自らの文化・宗教・経済的リソース、あるいは社会的参加をもって、社会全体の再活性化、強化に貢献する。教皇はこのような双方向性の協力の必要を説かれた。

あなたが貧しい人のために働くことは素晴らしいことであるが、貧しい人にすべきことを一方的に教えるだけならば、それは誤ったやり方である、とも教皇は述べ、まず貧しい人がどのように暮らし、何を必要としているかをあなたに話すことが大切であり、このようにすべての人が話す場を持たなければならない、と、「補完性の原則」に必要な態度をこのように表された。

危機をより良い形で克服するには、最も貧しい人々をはじめ、すべての人の自主性と取り組み能力を尊重しながら、「補完性の原則」を実践する必要がある、と教皇は述べた。

体においてはすべての部分が必要であり、特に「体の中でほかよりも弱く見える部分がかえって必要」である(参照: 1コリント 12,22)、と、教皇は聖パウロの言葉を引用。

このイメージの光のもとに、「補完性の原則」は、社会のケアと未来のために、一人ひとりが自分の役割を担うことを可能にすると言え、その実践はより健全で正義ある未来への希望を与え、わたしたちはその未来を、より大きな望みを抱きつつ、共に築いていくことができるようになる、と話された。

以前のカテケーシスで、危機から脱するための道として「連帯」について考察したことを振り返りながら、教皇は、この連帯の道には「補完性の原則」が必要と指摘。社会参加のない連帯は存在せず、すべての人々、特に家庭や、組織、小さな企業などの社会の中間を成す層の貢献が不可欠と語られた。

「ロックダウン」中に、医師や看護師らに対し、励ましと希望のしるしとして、人々から自然に拍手が沸き起こったように、わたしたちは、高齢者や子どもたち、障害者、労働者、様々な奉仕者など、社会を構成するあらゆる人々のそれぞれの貴重な貢献のために、拍手の輪を広げていこう、と教皇は招いた。

そして、拍手だけにとどまらず、希望をもって、社会の正義と愛の理想を追求しながら、より大きな夢に向かって励まし合い、不平等で病んだ過去を取り戻すのではなく、地域的側面とグローバル的側面が相互の豊かさを育て、少数派の美しさと豊かさが花開き、持つ人が持たない人のために奉仕する、新しい未来を築いていこう、と呼びかけられた。

 

23 9月 2020, 16:07