「今日必要なのは、愛の創造性」教皇「聖週間」を前に
教皇フランシスコは、2020年度の「聖週間」を前にビデオメッセージをおくられた。
カトリック教会の典礼暦は、今年4月12日(日)に祝う「復活の主日」に先立ち、4月5日(日)より、復活祭直前の一週間「聖週間」に入る。
パンデミック危機の下で迎える今年の「聖週間」について、教皇はビデオを通し、次のように語りかけた。
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親愛なる友である皆さま、こんばんは。
今晩、わたしは皆さまのお宅にいつもとは違う方法でおじゃまします。そして可能ならば、困難にある今この時期について、またその苦しみについて、皆さまとお話しをしたいと思います。わたしは、ご家庭の中で、感染を避けるために、いつもと異なる生活をしておられる皆さまを想像しています。外に出られず、通学もできず、自分たちの暮らしができない、小さな子どもや青少年の元気あふれる姿を思い浮かべます。わたしはすべての家庭を心に留めます。特に病人のいるご家庭、残念なことに、コロナウイルスや他の原因のために喪に服すことになったご家庭を思います。また、この日々、一人暮らしのために、こうした状況に最も困難を感じている方々、特に愛するお年寄りたちのことを考えています。
新型コロナウイルスの患者の方々、病院に入院している方々を忘れることはできません。わたしは、このパンデミックの治療のために、あるいは社会に必要な機能を保証するために、自らを捧げる方々の寛大さを知っています。毎日、一日を通して、どれだけの英雄がいることでしょう。経済的に苦しい思いをしておられる方々、仕事や将来を心配しておられる方々をも思い起こします。自分や家族たちのために感染症を恐れる、刑務所の受刑者たちの苦しみを思います。自分を守る家もない、ホームレスの方々を思います。
今はすべての人にとって困難な時です。多くの方々にとっては、かなり困難な時です。わたしはそれを知っています。そして、この言葉をもって、わたしの寄り添いと愛情をお伝えしたく思います。もし、できることならば、今この時をより良く使うようにしましょう。寛大に、近くにいる困窮した人を助けましょう。電話やソーシャルメディアで、最も孤独な人たちに声をかけましょう。イタリアや世界で苦しんでいる人々のために、主に祈りましょう。わたしたちは隔離されていても、思いと精神は、愛の創造性をもって遠くまで及ぶことができます。今日必要とされること、それは愛の創造性です。
わたしたちはいつもとまったく異なる方法で、聖週間を祝います。聖週間は、際限ない神の愛という、福音のメッセージを表し、集約するものです。わたしたちの町の沈黙の中で、復活の福音が再び響くでしょう。使徒パウロはこう言います。「その一人の方はすべての人のために死んでくださった。その目的は、生きている人たちが、もはや自分自身のために生きるのでなく、自分たちのために死んで復活してくださった方のために生きることなのです」(2コリント5,15)。復活したイエスにおいて、いのちは死に勝利しました。この復活の信仰はわたしたちの希望を育むものです。今晩、わたしはそれを皆さまと分かち合いたいと思います。それはより良い時への希望です。その時、わたしたちはより良い状態にあり、ようやく悪とこのパンデミックから解放されるのです。それは、一つの希望です。希望は欺くことがありません。それは、幻想ではなく、希望です。
他の人々と一緒に、愛と忍耐を通して、この日々、より良い時への準備をいたましょう。わたしを皆さまのお宅に招き入れてくださり、ありがとうございました。苦しむ人々、子どもたち、お年寄りたちに、優しく接してください。そして、教皇はそばにいて、主がこの悪からすべての人を解放してくださるようにと、祈っていると伝えてください。そして、わたしのために祈ってください。よい夕餉(ゆうげ)を。近くまたお会いいたしましょう。