教皇「親の欠点をも含めて、父母を敬うことが大切」
教皇フランシスコは、バチカンで9月12日、水曜恒例の一般謁見を行われた。
この日、教皇は謁見中の「十戒」をめぐるカテケーシス(教会の教えの解説)で、第4戒、「あなたの父母を敬え」(出エジプト20,12、申命記5,16)を考察された。
父母を敬うとは
教皇は、聖書において、神を敬うとは、神をありのままに受け入れ、その存在を尊重し、典礼でそれを表すだけでなく、人生において神に重きを置くことを意味するように、父母を敬うとは、献身や、愛情、孝行などを表す具体的な行いをも含めて、父母の存在の重要さをを認めること、と話された。
しかし、これだけではなく、「十戒」の第4戒の特徴は、「あなたの父母を敬え、あなたの神、主が命じられたとおりに」という命に続き、「そうすればあなたは、あなたの神、主が与えられる土地に長く生き、幸いを得る」(申命記5,16)と、この戒を守ることでもたらされる「結果」が示されていることである、と教皇は指摘。
第4戒は、父母を敬うことは、長く幸せな人生をもたらすと言っており、「十戒」の中で「幸せ」と言う言葉が見られるのは、両親との関係をめぐるこの戒だけであると語られた。
子の側の態度が重要
幼児期の体験はその人の一生に影響することは、知られているとおりだが、この戒は、必ずしも両親の優しさや、完璧さを要求するものではない、と教皇は注意。
この戒は、両親の価値の如何に関わらず、子の側の態度を言っている、と強調された。
教皇は、たとえ親が良い親でなくても、幼少期が平穏でなくても、
すべての子らは、誰が自分をこの世にもたらしてくれたのかを正しく認めることで、満たされた、幸せな人生に到達することができると述べられた。
そして、教皇は、来月列聖式が行われる福者ヌンツィオ・スルプリツィオや、聖カミロ・レリス、聖ジュゼッピーナ・バキータ、福者カルロ・ニョッキ、また聖ヨハネ・パウロ2世のように、早くに親を失ったり、苦難に満ちた幼少期を経験しつつも、イエス・キリストにおいて人生と和解し、光に満ちた人生を歩んだ人々を思い起こされた。
神からいただいた使命・人生
人は誰でも、その人生のストーリーに関わらず、キリストに導くものとして、この戒を受け取ることができると教皇は述べ、なぜなら、キリストにおいて、わたしたちに新たな生をくださる真の御父を見出すことができるからであると話された。
「わたしたちの人生の謎は、わたしたちが神を見出した時に晴らされる」、「神はわたしたちにいつも、神の子らとしての人生を準備してくださり、そこですべての行いは、神からいただいた使命となる。そして、人生はすべて貴重で、建設的なものとなる」と、説かれた。
教皇は、こうしてわたしたちは、成熟した子として、いつくしみをもって、親たちの限界を受け入れながらも、自分の父母を敬うことができるだろう、と話された。
新福者ヴェロニカ・アンタル(1935-1958)
この日、教皇は巡礼者への挨拶で、9月22日(土)、ルーマニアで、ヴェロニカ・アンタル(1935-1958 信徒・在世フランシスコ会)の列福式がとり行われることを紹介。
信仰に対する憎悪のために殺害されたヴェロニカ・アンタルの、自らの命の犠牲をもって神と人々への真の愛を証しした、その勇気ある生涯を神に感謝された。