「すべてを神の栄光のために」教皇、ミサの侍者たちに励まし
国際侍者協会(Coetus Internationalis Ministrantium, CIM)の主催で、ローマに巡礼中のミサの侍者の若者、およそ7万人は、7月31日、バチカンで教皇フランシスコとの出会いを持った。
7月後半に入り、ローマでは連日猛暑が続いた。同月最終日、夕方とはいえ、まだ照り返しの強い聖ペトロ広場に、ヨーロッパを中心に19カ国から訪れた侍者の少年少女たちの元気な歓声が響いた。
この出会いで教皇は、聖ペトロ広場を埋め、さらに正面のコンチリアツィオーネ通りまであふれた参加者らを、特別車パパモービルの上から祝福し続けた。
集いの前半には、若者たちの代表と教皇との、質疑応答の形式をとった対話が行われた。
「ミサの中で、侍者として、
また信徒として『平和のあいさつ』を人々と交換するが、この『平和』を、教会の壁の外にもたらすにはどうしたらよいか」という問いに対し、教皇は、「平和とミサは切り離せないもの」と指摘。
「主が与える平和は、わたしたちがキリストの手足となり、イエスと同じように感じ、考えることができるように、わたしたちを変容していきます。」
「ミサの終わりに、『行きましょう。主の平和のうちに』という言葉と共にわたしたちは派遣されます。それは、主の平和を自分の中に保ちながら、生活や、微笑、愛の業を通して、それを他の人々にも、もたらすようにということなのです。」
と、教皇はこのように答えられた。
また、「ミサの侍者をしながら、自分の同年代の人がミサや小教区の活動にあまり参加しないのを見て、悲しく思う」という言葉に対して、教皇は「皆さんこそが、同じ若者として、イエスに他の人たちを惹きつける使徒となることができるでしょう」と話した。
そのためにも「主イエスをよりいっそう知り、愛するように努めてください。周りにいる人と友情を築き、イエスを深く愛する皆さんの心を通して、イエスの光が彼らのところにも届くようにしてください」と願われた。
さらに「自分の人生には、神や、宗教、教会は必要ない、という人が多い。なぜ、信仰は重要なのか」という問いに、教皇は「信仰は、生きるための本質です」と答えられた。
「信仰は、呼吸する空気のようなものです。息をするたびに、空気がいかに必要かを、いちいち意識することはありません。でも、空気が足りない時、あるいは汚染されている時、それがいかに大切であるかに気付くのです。」
「信仰は、わたしたちが人生の意味を知ることを助けてくれます。それは、わたしたちを無限に愛してくれる誰かがいるということ。その誰かとは、神なのです。」
「神はわたしたちとの生きた関係の中に入って来ようとされている。神はわたしたちとの絆を築くことを望まれ、わたしたちもそうするようにと招かれています。」
「わたしたちは皆、神の子です。そして神の家族、すなわち教会、キリストにおける兄弟姉妹の共同体を築くようにと呼ばれているのです」
教皇はこのように語られた。
集いの後半には、聖書朗読や祈りが続いた。
「すべてを神の栄光を現すためにしなさい」(参照:コリントの信徒への手紙一10,31)という使徒聖パウロの言葉を、教皇は若者たちにイエスとの友情を生きる上での行動規範として示された。
「すべてを神の栄光のために」という使命は大きすぎるように見えるが、聖パウロやすべての聖人たちが、イエスに倣いながらこの使命を生きたように、それはわたしたちにも可能であると教皇は強調。
この日、7月31日に典礼暦で記念された聖イグナチオ・デ・ロヨラのごとく、自分の栄光ではなく、神の栄光に人生の中心と意味を見出し、すべてを神の栄光と兄弟たちの救いのためにするようにと、侍者の少年少女らを励まされた。