教皇フランシスコのチリ司教団への書簡 教皇フランシスコのチリ司教団への書簡 

教皇、チリ司教団に書簡、未成年虐待問題への取り組みを励ます

教皇フランシスコは、チリ司教協議会が開催した聖職者による未成年虐待問題をテーマにした特別総会の決議を受け、書簡を通し、この問題に対する具体的対応を励まされた。

チリ司教協議会は、7月30日から8月3日まで、未成年虐待問題への取り組みを話し合うため、プンタ・デ・トラルカで特別総会を開催。

「司牧者としての自分たちの義務をおろそかにし、司祭や修道者によって犯された重大な罪と不正の犠牲者に、耳を傾け、彼らを信じ、寄り添い、ケアをすることができなかった」こと、また「性的搾取や権力の乱用の犠牲者の苦しみを前に、迅速に対応できないことがしばしばあった」ことを謙虚に認識し、「何よりもまず犠牲者らに赦しを乞う」との声明を、会議後、発表した。

司教らは、声明の中で、自分たちの過ちと怠慢が人々の苦しみと疑念を生み、教会の交わりを損ね、回心と希望を妨げたことへの自覚を表明。

真理と、正義、犠牲者への償いのために努力すると共に、罪を犯した者が処罰から逃れることができないように、法的な時効を研究すること、未成年虐待問題との闘いのためのガイドラインの製作、検察との完全な協力、未成年虐待を犯した聖職者の名を刑法・教会法における判決結果と共に公表すること、虐待の犠牲者らへの直接的ケアと、このようなことを起こさないための予防策の強化などを約束している。

教皇のチリ司教団宛ての書簡

チリ司教協議会の発表によれば、教皇フランシスコは、8月5日付の自筆の短い書簡を通し、司教らの決議に意見を示された。

教皇は司教らの文書を注意深く読み、その考察と識別の作業と、未成年虐待問題に取り組むための決断に心を打たれたと述べ、その現実的かつ具体的な対策はこの問題に対するプロセスを全面的に助けるだろうと記している。

教皇は特に「神の忠実で聖なる民に一致した司教団の姿」に感銘を表すと共に、教会を構築するこの建設的姿勢に感謝を述べられた。

チリ司教団のこれまでの対応

チリのカトリック教会は、このところ、聖職者による児童の性的虐待を隠ぺいした問題で、責任追及と具体的対応を厳しく迫られている。

同国の司教団は、この問題の重大さを認識するに当たり、今年4月上旬に司教会議を招集。続いて、5月中旬、教皇フランシスコが召喚した会議のためにバチカンを訪問した。

バチカンで非公開で行われた5月の会議では、聖職者の立場を悪用した未成年の性的虐待に対する認識や、隠ぺいが行われた構造的原因、それが引き起こした結果などが問われた。

3日間の会議後、司教らは問題の深刻さを受け止め、全員がそろって辞意を表明。教皇の手にその進退を委ねていた。

教皇はこの間、性的虐待の犠牲者らともバチカンでお会いになっている。

07 8月 2018, 17:14