世界代表司教会議(シノドス)第16回通常総会・第一会期   2023年10月20日のブリーフィング 世界代表司教会議(シノドス)第16回通常総会・第一会期 2023年10月20日のブリーフィング 

シノドス・ブリーフィング:菊地功大司教らがゲスト参加

バチカンで開催中の「世界代表司教会議(シノドス)第16回通常総会・第一会期」をめぐる10月20日のブリーフィングで、東京大司教・日本司教協議会会長の菊地功大司教らがゲストとして参加し、発言した。

 バチカンで開かれている「共に歩む教会のため 」をテーマにした「世界代表司教会議(シノドス)第16回通常総会・第一会期」は3週目に入り、討議要項に沿ったプログラムは、終盤の作業へと向かっている。

 会議の進行状況を説明する定期ブリーフィングで、10月20日、東京大司教区大司教・日本司教協議会会長の菊地功大司教らが招かれ、シノドスの体験をめぐる所感等を述べた。

 現在、シノドスでは、討議要綱の最終項目、セクションBの「B3.「参加、責任と権威の役割。共に歩む宣教的教会におけるプロセス、構造、制度」について、まとめの作業が行われている。

 このブリーフィングの前半では、同シノドス広報委員会の責任者パオロ・ルッフィーニ広報省長官と、同委員会・事務官シェイラ・ピレス氏が、10月19日(木)午後の第13回全体会議と、20日(金)午前の第14回全体会議に上がってきた、主な視点、キーワードなどを報告した。

 これによれば、この2つの全体会議では、特に教会における「権威」について、いわゆる「権威主義」を避ける必要、「権威」とは「奉仕」であるということ、「権威」にはすべてをコントロールするのではなく「委託」する能力が要求されることなどが指摘された。

 また、同会議では、貧しい人々への奉仕における司牧者の役割、さらに「第三次世界大戦」と言える状況を作り出している、武器商人たちに人間的感情を取り戻すよう回心を呼びかける必要も司教らに示された。

 加えて、これらのセッションで、もう一つの重要なキーワード、「共同責任」をめぐり、「様々なカリスマを参加させ、コーディネイトすること」、特に「信徒たちの持つ特性や能力を活かす」必要が強調されたという。

 教会の「制度」の改革については、特に財政面の透明化、教会法の見直し、教会内で使われている古い「タイトル」の再考、司牧会議などすでにある制度の強化、また若者に寄り添う司牧のあり方などが意見された。

 ブリーフィングの後半、ゲストとして招かれたシノドス参加者たちの発言があった。

 この日は、東京大司教区大司教・日本司教協議会会長で、アジア司教協議会連盟(FABC)事務局長と国際カリタス会長を務める菊地功大司教のほか、ヴィリニュス(リトアニア)の大司教ジンタラス・グルサス師、シリア典礼カトリックの修道会の会員フォウダ・ファドゥル修道女、使徒の聖母修道女会総長で国際女子修道会総長連盟(UISG)会長であるメアリー・テレサ・バロン修道女の4人が出席した。

 菊地功大司教は、日本人は多くを話さず、沈黙を愛するが、そのために日本人、また多くのアジアの人々にとって、率直に意見をいうことが難しい、と述べ、それゆえに少人数でのディスカッションは大変重要である、と指摘した。

 菊地大司教は、今年2月バンコクで開催されたアジア大陸レベルでのシノドスに言及。そこでは、現在のシノドス総会の会場で行われているような10人程度の人数の円卓会議を通し、対話の精神のもとに、率直な意見交換の機会を得ることができた、と振り返った。

 現在参加しているシノドス総会においても、自分が5つの異なるグループに参加できたことを感謝していると同大司教は述べ、それは多くの人と出会い、一致の中の多様性を感じ、体験することを可能にしてくれたと話した。

 同時に、菊地大司教は、カトリック教会の普遍性を強調しつつ、一方で、一つのサイズがすべての人にフィットしないように、アジアには非常に多様な言語、文化、現実があり、すべての人に働きかけるかけるために、一つの方法を押し付けるということはできないとも述べた。各地方の文化、現実を尊重すべきアジアにおいて、シノドス性とは画一性を意味せず、それぞれの文化をリスペクトすることが要求される、と語った。

 さらに、菊地大司教は、国際カリタス会長の立場から、カトリック教会のシノドス性において、カリタスは重要な存在である、と指摘。

 カリタスは世界に広がり、各組織は独立性を持つが、それぞれがカトリック的アイデンティティーを持ち、様々なパートナーと積極的に協力するだけでなく、エキュメニカルかつ諸宗教対話的な性質を持っていることを示した。

 また、同大司教は、国際カリタスの責任者や地方で活動する人々の様々な国籍にも見られるように、カリタスはすべての人が参加する本来シノドス的な組織であること、その活動は、現地で一人ひとりの困難に寄り添い、人々の尊厳の向上を目指し、未来の希望を生むものであることなどを説明。カリタスはカトリック教会が共に歩む上で強力な道具であり続けるだろう、と話した。

21 10月 2023, 18:54