講演会「紛争下での女性のエンパワーメント・プロジェクト」2022年3月4日 ローマ・サレジオ大学 講演会「紛争下での女性のエンパワーメント・プロジェクト」2022年3月4日 ローマ・サレジオ大学 

日本・バチカン国交80 周年 :紛争下の女性支援計画めぐる講演会

日本・バチカン国交樹立 80 周年を記念する行事として、ローマのサレジオ大学で、「紛争下での女性のエンパワーメント・プロジェクト」をテーマに講演会が行われた。

 日本とバチカンが1942年に外交関係を樹立してから、今年で80年となった。

 これを記念する行事として、3月4日(金)、在バチカン日本国大使館と教皇庁立サレジオ大学の主催により、「紛争下での女性のエンパワーメント・プロジェクト」をテーマとする講演会が開催された。

 サレジオ大学を会場に行われたこの催しでは、同大学のアンドレア・ ボッツォロ総長と、教皇庁人間開発省次官シスター・アレッサンドラ・ズメリッリの挨拶に続き、岡田誠司・在バチカン日本国特命全権大使、国際連合工業開発機関(UNIDO)アグリビジネス部・産業開発専門官・石川明美氏らが講演。

 日本政府とUNIDO、サレジアン・シスターズの協力による、南スーダンの国内避難民の女性を対象とした、ピーナッツ等を用いた食用油の生産・販売を通した経済的自立促進プロジェクトの事例が紹介された。

 南スーダンは、2011年のスーダンからの独立後、2013年には政治対立を原因に国内状況が不安定化、その後も衝突は続き、約200万人の国内難民、約220万人の国外難民を生み出すことになった。

 こうした中、日本政府による企画と経済支援、UNIDOによるプランニングと実施、現地で人々の信頼を得ているサレジアン・シスターズの協力のもと、国内難民の女性たちに向け、地元生産のピーナッツやゴマを調達して食用に製油し、製品化により価値を上げ、安定した収入を得ることを目標にした計画が2019年4月から2020年8月にかけて行われた。

 このプロジェクトは、収穫後処理機材、搾油設備の導入と研修を軸に、食品加工の安全性をめぐる研修や、グループによる貯蓄・貸付のノウハウ習得、起業家教育、さらにプロジェクト継続のためのリーダー育成をも含めた、総合性あるものとして実施された。

 その結果、女性たちは食用油の生産・販売による売り上げを得て、そこからの貯蓄により、今後の生産・販売サイクルの資金を確保することができた。

 この講演会で、岡田大使は、平和プロセス支援、人道支援、経済発展支援の3つを柱にした開発援助を提示しつつ、南スーダンで実施されたプロジェクトについて説明。この中で持続可能であることの大切さ、女性の役割の重要性、また教会との協力の利点、などについても言及した。

 次に、UNIDOの石川明美氏は、南スーダンの情勢を解説。同国での農業バリューチェーン構築を通した雇用や所得安定の機会創出のためのプロジェクトの、発案から、実施プロセス、成果などを具体的に語ったほか、ビデオ上映を通して、現地の様子や、同プロジェクトに関わる人々の生き生きとした表情、プロジェクトに対する国内のマスコミ・市民の関心を伝えた。

 また、この講演会では、南スーダンのサレジアン・シスターズ会員、シスター・ルルド・ヘルモソと、プロジェクトの受益者である女性たちが、ビデオ中継を通して参加。、プロジェクトの手応えや、現在の状況などを報告した。

04 3月 2022, 15:52