貧しい人々への支援物資を運ぶ修道女たち 2020年5月 ケニアで 貧しい人々への支援物資を運ぶ修道女たち 2020年5月 ケニアで 

生命アカデミー:パンデミック下に必要な倫理・協力・連帯

教皇庁生命アカデミーは、パンデミックの影響とそこからの再生を考察する文書を発表した。

教皇庁生命アカデミーは、パンデミック危機をめぐる文書を発表した。

「パンデミック時代の人類共同体」と題されたこの文書は、新型コロナウイルスによるパンデミック危機が人類に与える影響とそこからの再生を考察している。

同文書の内容は、主に三つのキーワード、「リスクに対する倫理の醸成」「国際協力の具体化」「責任ある連帯の推進」からなる。

わたしたちはこのパンデミックから何を学んだか、と同文書は問い、それは人間の「脆さ」であると同時に、いのちとは「恵み」であるという自覚であった、と述べている。

ウイルスの感染が国境を越えて拡大する中、互いに依存し合う関係にある人類と、その共同体の脆さに、より関心を払うよう強調している。

そして、情報の共有、支援の供給、資源の分配のための、相互の努力を呼びかけている。

特に、この感染症をめぐる医療とワクチン開発の重要性を示しつつ、そのための調整と協力の欠如は、同感染症の治療における妨げになるだろう、と記している。

生命アカデミーは、パンデミックと闘うために、第一に、リスクに対する倫理の大切さを説き、健康、いのち、尊厳が最も脅かされやすい人々に対する責任ある態度を呼びかけている。

次に、同アカデミーは、質の良い医療と基本的な薬へのアクセスが「普遍的な人権」として認識されるよう、グローバルな取り組みと国際協力の必要をアピールしている。

同時に、統合的かつ利害関係から自由で平等な科学研究の推進を願い、研究の公的側面が私的利益の犠牲にならぬよう希望。このようにして、特に、前例のない悲劇に直面する開発途上国を支えることができるよう願っている。

さらに同文書は、貧しい人々をはじめ、すべての人に平等な尊厳を認めることのできる、責任ある連帯の推進を訴えた。

最後に、生命アカデミーの文書は、すべての人により良い未来を可能にする人類の共存を思い描き、それを実現するための希望の態度へと人々を招いている。

22 7月 2020, 15:27