「兄弟愛の種をまく人に」教皇、バーレーンの若者たちに
教皇フランシスコは、11月5日(土)午後、訪問先のバーレーンで、若者たちと交流された。
アワリ市内のカトリック系の学校、セイクリッド・ハート・スクールで催された教皇との集いには、同校の生徒や卒業生をはじめ、およそ800人の青少年が参加した。
教皇を迎え、民族衣装の若者たちによるダンスや、合唱が披露されたほか、同校のイスラム教徒の卒業生や、カトリック信者の学生らが教皇に挨拶を送った。
教皇は、様々な文化・宗教の出会いと対話の場であるバーレーンで、キリスト教とイスラム教の若者が共に集う様子を喜ばれた。
「皆さんは世の中のパン種として成長し、多くの社会・文化の壁を乗り越え、兄弟愛の芽生えを促すように召されている」と述べた教皇は、対話を恐れず、他者と交わり、友愛と連帯ある社会の基礎となって欲しいと、若い人たちに希望された。
この機会に、教皇は若者たちに三つの助言を与えられた。
一つは「いたわりの文化を身につける」ことと教皇は述べ、他者へのいたわりは内的な感受性の成長を促し、自分自身の殻から抜け出すことを助け、無関心に打ち勝つことを可能とする、と話された。
自分のまわりにあるもの、人々や街や自然をいたわらないならば、人生をあくせく過ごしても結局は虚しくなる。それは友情や、見返りを求めない喜びを深く味わうことがないからである、と語られた。
また、教皇は二つ目の助言として「兄弟愛の種をまく」こと、「兄弟愛のチャンピオン」となることを勧められた。
「先進的なテクノロジーや道具も、平和で兄弟的な世界を作るには十分でない。実際、戦争の風を技術の発展で静めることはできない」と教皇は指摘。
心に働きかける努力をせず、他者との距離を広げるままにすることは、民族・文化・宗教等の違いを問題として認識させ、その恐れから人は孤立し、他者と成長する機会を失なってしまう、と話された。
「しかし、友情を築き、先入観を超える力のある若い皆さんは、兄弟愛の種をまき、その実りを刈り入れる人となって欲しい」と教皇は願われた。
三つ目に、教皇は「人生の選択をする」ことについて助言された。
挑戦のない人生はなく、挑戦を前に人はいつも選択を迫られる。こうした時、神に信頼し、恐れることなく前に進むよう、教皇は若者たちを勇気づけた。
「神は決して皆さんを独りにせず、手を差し伸べ、導いてくださる」と教皇は述べ、そのためには静かな祈りの中で神の声を聞き分けることが大切と話された。
「夢を見る勇気を決して失ってはならない」と若者たちを励ました教皇は、「神が皆さんと共におられるように」と祈られた。