教皇「貧しい人に福音を告げに行く、美しく若い教会」

教皇フランシスコは、「貧しい人々のための世界祈願日」にミサを捧げられた。

 カトリック教会の「第5回貧しい人々のための世界祈願日」が、11月14日(日)、記念された。

 この朝、教皇フランシスコは、同祈願日のために、バチカンの聖ペトロ大聖堂でミサを捧げられた。

 ミサの説教で教皇は、この日の福音朗読(マルコ福音書13,24-32)中のイエスの次の言葉を観想された。

 「それらの日には、このような苦難の後、太陽は暗くなり、月は光を放たず、星は空から落ち、天体は揺り動かされる。そのとき、人の子が大いなる力と栄光を帯びて雲に乗って来るのを、人々は見る」(マルコ13,24-26)

 教皇は、この言葉の前半に表される完全な闇、そして後半に語られる主によって開かれる希望の、闇と光を対比され、そこに人間の世界の様々な矛盾が生む「今日の苦しみ」と、わたしたちを悪から解放する主との出会い、救いの未来を待つ「明日の希望」とを読み取られた。

 「今日の苦しみ」をめぐり、教皇は、試練や、暴力、苦悩、不正義に覆われた歴史の中で、いつ実現するのかわからない解放を待っている人類、特に最も貧しい人たちの存在を注視。

 「貧しい人々のための世界祈願日」は、これらの最も弱い立場にある人々の苦しみから目を背けないようにとわたしたちを招くもの、と話された。

 「明日の希望」は「今日の苦しみ」の中に花開く、と述べた教皇は、神の救いは遠い天の約束ではなく、傷ついた今日の歴史の中ですでに育ち始めているもの、と語られた。

 「キリスト者に求められているのは、今日の苦しみをいやしながら、明日の希望を育むこと」、「福音から生まれる希望は、明日がより良くなることを受け身で待つものではなく、神の救いの約束を、今日、日々、具体化し、愛と正義の御国を毎日築くことにある」と教皇は説かれた。

 「自分自身から抜け出し、イエスのように貧しい人々に良き知らせを告げに行く教会は、美しく、福音的で、若々しい」と述べた教皇は、人生の道に迷った人々、世から見捨てられた人々に、「勇気を出しなさい。主は近くにおられる。冬の心にも春は訪れる。苦しみからも、希望は再び立ち上がるだろう」と告げる「預言的な教会」の姿を示された。

 「貧しい人々に希望の眼差しと優しさをもたらそう。なぜなら、貧しい人々と共に、貧しい人々の中に、イエスはおいでになり、そこでわたしたちを待っておられる」と、教皇は信者らに呼びかけられた。

14 11月 2021, 17:29