児童労働をなくすために、教皇庁主催で国際会議
今年2021年は、国連による「児童労働撤廃国際年」に指定されている。
国際労働機関(ILO)と国連児童基金(UNICEF)の統計によれば、2020年時点での全世界の児童労働者数は、およそ1億6000万人と推定される。このところ下降傾向にあったその数は、新型コロナウイルスがもたらした危機によって、ここ20年間で初めて増加に転じた。
この国際年に合わせ、教皇庁の主催のもと、児童労働撤廃をめぐる国際会議が、11月19日、オンライン形式を交えて行われた。
「児童労働の廃絶、より良い未来の構築」と題された同会議は、教皇庁人間開発省のCOVID-19委員会と駐国連食糧農業機関(FAO)教皇庁使節によって開催された。
教皇フランシスコは、同会議の参加者への挨拶で、児童労働は、人類の今日と未来のために特別に重要な問題である、と強調。
子どもたちに関わる態度、その尊厳と権利の尊重の度合いは、わたしたちがいかなる大人になりたいか、いかなる社会を築きたいかを表している、と話された。
今日の経済において、技術革新を用いたその生産活動が「第4次産業革命」とまで呼ばれる状況にも関わらず、地球のあらゆる場所で、労働に従事する児童たちが未だ存在し続ける現状を教皇は注視。
グローバル化した経済の生産プロセスの中で、他者の利益のために子どもたちが搾取されていることは、健康・教育・調和ある成長、また遊び、夢見るといった子どもたちの権利の否定である、と述べられた。
極度の貧困、就労機会の不足、それによる家族の窮状が、子どもたちを労働力として搾取される立場に追いやる最大の原因である、と教皇は話し、児童労働の問題を根絶するには、貧困を克服し、豊かさをごく一部の人々に集中させる現行の経済システムの歪みを正すために、皆が一緒に努力する必要がある、と説かれた。
こうした中、教皇は、子どもたちをやむなく働かせることがないように、家族の必要に十分かつ正当な給与を伴う、尊厳ある仕事の機会を設けるよう、各国や企業界を励ます必要を指摘された。
そして、あらゆる国で、質の良い無償の教育、誰もがアクセスできる医療制度の確立を推進しなくてはならない、と語られた。
児童労働をなくすために、社会のすべての人が呼ばれている、と述べた教皇は、困難の中にも勇気をもって活動の輪を広げよう、とアピールされた。