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教皇フランシスコ、イタリアの職業訓練校連合の関係者との集いで 2024年5月3日 バチカン・パウロ6世ホール 教皇フランシスコ、イタリアの職業訓練校連合の関係者との集いで 2024年5月3日 バチカン・パウロ6世ホール  (VATICAN MEDIA Divisione Foto)

教皇「職業訓練が人間の全体的な成長に寄与するように」

教皇フランシスコは、イタリアの職業訓練校連合の関係者とお会いになった。

 教皇フランシスコは、5月3日、イタリアの職業訓練校連合の関係者との出会いを持たれた。

 同連合は、1974年、イタリア司教協議会の働きかけによって結成されたもので、キリスト教的精神のもとに、若者と成人を対象に職業訓練、職業指導の奉仕を行う学校・施設を組織化することを目的としている。

 この日、バチカンのパウロ6世ホールには、イタリア全国から、修道会等が運営する職業訓練および向上訓練校の教師や、技術指導者、生徒らが集った。

 関係者への挨拶で、教皇は、教会の社会教説に基づく奉仕を通して社会に重要な貢献をする職業訓練校連合の創立50周年に、お祝いと感謝を述べられた。

 教皇は、先進的な育成プロセス、高い質を持ったメソッドや作業訓練などを通して若者に奉仕するこれらの学校の日々の取り組みを、諸修道会の多様で豊かな霊性とカリスマの表現として喜ばれた。

 また、教皇は、これらの学校が、設備と職業訓練の質の追求だけでなく、社会や教会の片隅に追いやられた若者たちに特別な関心を向け、その世話に尽力していることは最も重要なことと述べられた。

 このような職業訓練校の活動を特徴づける要素を、教皇は「若者」「養成」「職業」の3つの言葉に要約された。

 教皇は、本来才能と可能性に満ちているはずの「若者」が、今日、文化的な様々な視点において大変不安定な立場に置かれていることに憂慮を表わされた。

 実際、職業教育も実践経験もない多くの若者たちが、仕事を求めて故郷を離れながらも、自分の夢にふさわしいチャンスをつかめずにいたり、不安定な雇用形態や低賃金に甘んじたり、困難な社会環境や不満の中で仕事を辞している現実に言及された。

 このような状況を前に、教育と養成の放棄は悲劇である、と教皇は述べ、若者たちの社会的支援の法制化を推進すると共に、大人たちが若者たちの夢や望みを分かち合い、先入観なしに彼らを導き、支え、励ますことが必要と話された。

 そして、これまで機会に恵まれなかった若者たち、社会的に困難な状況を生きてきた若者たちをはじめ、若い人たちが誰一人見捨てられることがないようにと、配慮を願われた。

 教皇は、「養成」は未来を作り出すために不可欠な取り組みであると強調。新しいテクノロジーや人工知能などの発達によって職環境が絶えず複雑化する中、テクノロジーを恐れ拒否することにも、また逆にテクノロジーが万能であるという幻想を抱くことにも注意しなければならない、と語られた。

 これに対して教皇は、仕事の変化は常に更新された創造的で継続的な養成を必要とするため、リソースとエネルギーに投資する一方で、特に手作業を要する仕事に尊厳を与えるための取り組みが求められる、と話された。

 また、教皇は、良い職業的育成は一夜にしてならず、と述べ、そのためには家族の絆、教育経験、企業との健全な関係が求められ、同時に、技術だけでなく人間性も必要と説かれた。

 自己紹介の際に、自分の職業を述べるように、しばしば「職業」によってわたしたちは定義されるが、実際、イエスご自身も、「大工の息子」(マタイ13,55)、「大工」(マルコ6,3)と呼ばれていた、と教皇は指摘。

 このように職業はわたしたちの生活と召命において本質的な一面を持つにも関わらず、今日、職業の意味は低下し、職業が自身の尊厳や共通善との関係よりも、利益関係でとらえられるようになっている、と話された。

 教皇は、職業訓練のプロセスが、精神的・文化的・職業的な面において、人間の全体的な成長に寄与することを希望された。

03 5月 2024, 17:01