バチカン外務局長「核兵器廃絶は人類の揺るぎない願い」
バチカンの外務局長、ギャラガー大司教は、国連総会のハイレベル会合で、核兵器廃絶へのさらなる努力を呼びかけた。
米ニューヨークの国連本部で、第76回国連総会の「ハイレベルウィーク」が、9月20日から28日にかけて開催された。
バチカンの外務局長、ポール・リチャード・ギャラガー大司教は、「核兵器の全面的廃絶のための国際デー(9月26日)」を記念・推進するための会合において、28日、ビデオを通しメッセージを述べた。
この中で、ギャラガー大司教は、「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」は、核兵器廃絶に対する人類の揺るぎない願いを、世界に、特に核兵器保有国の指導者らに訴える機会である、と話した。
現在の核兵器をめぐる状況を長引かせている要因として、同大司教は、威嚇防衛的政策と、核兵器の製造・配置のための膨大な費用の二つを挙げた。
威嚇防衛は軍拡競争を後押しし、人間性を失わせる技術環境を生む、と述べたギャラガー大司教は、国家間の真の恒久的平和は軍事力の均衡の上ではなく、相互の信頼構築の上に成り立つという、教皇ヨハネ23世の考えを提示した。
また、同大司教は、いくつかの国において核武装のための過大な予算が貧富の差を生んでいることを指摘。先の見えないパンデミック危機と地球温暖化の影響の深刻化を前に、人道的必要と環境への配慮に応えた軍事費の削減を国々にアピールした。
こうした中、ギャラガー大司教は、軍事費を飢餓撲滅と最貧国の発展支援のための世界基金創設にあてるという、教皇フランシスコやパウロ6世の提案をあたらめて示した。
そして、特に「核の傘」の下にある国々に対し、グローバルな優先問題を見つめ直し、誠実に核軍縮交渉を行う義務を規定した核兵器不拡散条約の第6条に従った、核軍縮のためのさらなる努力を呼びかけた。
28 9月 2021, 10:26