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教理省:未成年者虐待のケースにおける対応手引書を発表

教皇庁教理省は、未成年者虐待の件における手続きの要覧を発表した。

教皇庁教理省は、7月16日、聖職者による未成年者虐待のケースに対応するための手続きについての要覧を発表した。

「聖職者による未成年者虐待ケースへの対応における手続き上のポイントについての要覧」と題されたこの文書は、全9章、およそ30ページからなる。

この文書は、聖職者による未成年者虐待の件への対応をめぐる主な問いに答える手引き書としての性格を持つ。この問題に関する新たな規則や法規を記すものではなく、むしろ、この重大な犯罪をめぐり、教会法の具体的適用のための解釈を必要とする司教や関係者を助けるものである。

同要覧の作成は、2019年2月、世界の司教協議会会長が集いバチカンで開催された、未成年者の保護をめぐる司教会合の席で要請されたもので、今回発表されたバージョンは、将来の定期的な見直しを予想して「1.0版」と名付けられている。

一つの犯罪はどのように形成されるか、事前の調査はどのように進められるか、刑法上可能な手続きは、など、いくつかの問いに答えながら、現行法や、ヨハネ・パウロ2世によって2001年に公布され、2010年にベネディクト16世によって更新された自発教令「サクラメントールム・サンクティタティス・トゥテーラ」、そして、2019年の教皇フランシスコによる自発教令の形をとった使徒的書簡「ヴォス・エスティス・ルクス・ムンディ」の内容に触れている。

この要覧からは、特に四つの重要な点が浮かび上がる。

まず一つは、当事者らの人間としての保護の必要である。教会の責任者らには、「被害を訴える人とその家族が尊厳と尊重をもって扱われるよう取り組む」ことが求められる。そして、これらの人々に、霊的・医療的・心理学的な助けはもとより、ケースに応じた特定の方法をもって、心のこもった対応、傾聴、寄り添いを行うことが必要と記している。ここでは、訴えられた人に対する同様の配慮にも触れている。

二番目に、虐待と推定されるケースをめぐり、司教が受け取ったあらゆる情報を細心の注意をもって入念に審査する必要が挙げられる。たとえ、正式な告発がなかった場合や、ソーシャル・ネットワークを含むマスメディアによってニュースが流布した場合、情報源が匿名の場合にも、受け取ったすべての情報を注意深く審査し、深く掘り下げるよう、同要覧は助言している。また、告解の秘匿義務は当然有効であるが、この場合、聴罪司祭は、告解者に、推定される虐待の情報を別の方法で告げるように説得しなくてはならない。

この手引きが示す三つ目の重要な点は、「コミュニケーション」のあり方である。事前調査の間、被害を訴える人と証言者には「事件をめぐり沈黙を守る義務」はないことを強調する一方、関係者らに「職務上の守秘義務」を尊重するよう思い出させている。いずれにせよ、不適切かつ不正な情報が、特に事前調査の段階で公に流布され、既成事実であるかのような印象を与えることがないようにと願っている。

最後、四番目の重要なポイントは、教会と国家の協力である。たとえば、教会の責任者は、明白な法的義務がなくても、犯罪的行為の危険から未成年者らを守るために必要と思われる時はいつでも、自治体の担当機関に通告するよう、同要覧は強調している。同時に、個々のケースの調査においても、各国の法律を尊重するよう指示している。

 

17 7月 2020, 15:36