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種をまくニジェールの女性たち  種をまくニジェールの女性たち   (AFP)

教皇、FAOの総会にメッセージ

教皇レオ14世は、国際連合食糧農業機関(FAO)の 第44回 総会にメッセージをおくられた。

 国際連合食糧農業機関 (FAO、本部:ローマ)は、6月28日から7月4日まで、第44回 総会を開催している。

 教皇レオ14世は、FAOの屈冬玉(チュー・ドンユィ)事務局長をはじめ、今総会参加者に、メッセージをおくられた。

 この中で教皇は、今年創設80年を迎えるFAOが、今日の最重要課題の一つである食糧不安と栄養不良への解決を見出すために日々取り組んでいることに感謝を述べられた。

 福音書のイエスのパンと魚の奇跡を読むと、キリストによって行われた真の奇跡は、飢えを撲滅するための鍵は強欲な溜めこみではなく、分かち合いにあると、明示したことだと気づかされる、と教皇は記された。

 重要な進歩は遂げたものの、世界の食料安全保障の状況は悪化をたどり、2030年までに貧困を撲滅するという「アジェンダ2030」の達成は不確定になるばかりである、と述べた教皇は、これは1945年に同機関が創立された際の目標からわたしたちがほど遠いところにいることを意味する、と指摘。

 地球上では全人類に食糧を十分行き渡らせるだけの生産が可能にも関わらず、また、食料安全保障をめぐる国際的な取り組みにも関わらず、世界では多くの貧しい人々が日ごとの糧を得られないでいる一方で、今日、わたしたちは戦争の武器として飢餓が不当に利用されているのを、苦悩と共に目撃することにもなった、と書き留めている。

 そして、教皇は「国民を飢えさせることは、非常に安上がりな戦術である」がゆえに、今日の紛争では、無辜の市民を支配する目的で、通常の軍隊ではなく、民間の武装集団が農地を焼き、家畜を盗み、支援のブロックを行うことが多くなったと述べている。

 多くの人が飢餓のために亡くなる一方、政治リーダーたちは汚職や不処罰で富んでいる、と記しながら、教皇は、今こそ世界はこれらの権力の乱用を制裁し、その責任者らを訴追するために、共通の明確な制限を採用するようにと促している。

 平和と安定なくして、レジリエンスを持った農業食糧システムの確保は不可能であり、すべての人に健康的で手の届きやすい食糧の保障はできないと教皇は述べ、互いに傾聴し、理解し合い、共に行動するための対話の必要を訴えた。

 また、食糧システムと気候変動が相互に影響を及ぼし合っている点に言及しながら、教皇は、自然災害と生物多様性の喪失によって引き起こされた社会の不平等は、環境と人間を中心に据えた適切なエコロジカルな移行によって訂正されるべきと説いている。

 進行中の様々な危機と紛争によって引き起こされた、国際関係の巨大な二極化が見られ、世界の貧困と飢餓を撲滅するための資金と技術が兵器の製造と取引に流用される中、議論の余地あるイデオロギーが扇動され、人間関係は冷え込み、兄弟愛や社会的友情を妨げている、と教皇は今日の現状を直視。

 今こそ、不毛な雄弁を脇に置き、揺るがぬ政治的意志を持ち、教皇フランシスコが述べたように、「皆の必要を満たすために、相互の協力と信頼ある環境を育むことを目的とした、相違点の解決」が求められる、とアピールされた。

01 7月 2025, 17:05