レオ14世、国の指導者らに平和のための対話呼びかける
教皇レオ14世は、5月14日、東方典礼カトリック教会の聖職者や信者たちとお会いになった。
バチカンとローマで、5月12日から14日まで、「東方教会の聖年」が祝われた。この聖年行事のために、様々な東方典礼を用いる各地の教会から、総大司教や首都大司教をはじめ、聖職者、修道者、信徒らによる巡礼団がローマを訪れた。
この間、バチカンの聖ペトロ大聖堂やローマ市内の聖マリア大聖堂で、エチオピア典礼、アルメニア典礼、コプト典礼、カルデア典礼、シリア・マラバル典礼、マロン典礼、シリア・マランカル典礼、メルキト・ギリシャ典礼、ルーマニア典礼、ウクライナ東方典礼などに属する東方典礼カトリック教会の信者たちのために、聖年を記念するミサが捧げられた。
14日、これらの巡礼団は、バチカンのパウロ6世ホールに集い、教皇レオ14世との出会いを持った。
レオ14世は巡礼団への挨拶の中で、登位後間もないこの時期に、東方典礼の信者たちとお会いになれたことを喜ばれた。
教皇は、「皆さんは大切な存在です。皆さんの様々な出身地と栄光ある歴史に思いをはせると共に、その多くの共同体が受けた、そして今も受け続けている辛い苦しみを考えます」と話された。
そして、レオ14世は、「霊的伝統と唯一の叡智を守る東方教会は、愛されなくてはならない」と説いた故教皇フランシスコの言葉や、東方教会の尊厳と、その典礼と伝統を保護する必要を初めて主題とした、レオ13世の使徒的書簡『オリエンタリウム・ディニタス』(1894)を思い起こされた。
「教会は皆さんを必要としています。今日、東方の信者たちがわたしたちに与える貢献はいかに偉大なことでしょうか」と、教皇は典礼に息づく神秘の意味や、神を第一に置く考え方を、キリスト教の信者たちが今取り戻すべきものとして指摘された。
東方教会の人々ほど、暴力の深淵の中で希望を歌える者はいない、と述べた教皇は、聖地や、ウクライナ、レバノン、シリア、中東地域、アフリカのティグレ地方、コーカサス地域などに見られる暴力に言及。
「武力的征服の名の下に死ぬのは人間です。これらのすべての恐怖、若いいのちの虐殺は恥ずべきことです」と述べたレオ14世は、教皇としてだけでなく、キリストの言葉として、「あなたがたに平和があるように」(ヨハネ20,19.21.26)という平和のアピールを繰り返された。
「キリストの平和は、紛争の後の死の沈黙でも、強制の結果でもありません。それは人間を見つめ、いのちを取り戻させる恵みです」と話しながら、教皇はキリストが与える平和、和解、赦し、再出発の勇気のために祈るよう招かれた。
レオ14世は平和のためのご自身の努力と、紛争の当事者同士の対話のための教皇庁の働きかけを約束された。
そして、「人々は平和を望んでいます。わたしは手を胸に当てて人民の責任者たちに言います。出会い、対話し、話し合いましょう。戦争は避けられぬものではありません。武器は収めることができ、それは収めるべきです。武力は問題を解決するどころか、増大させるからです。歴史に残るのは平和の種を蒔く者であり、死を蒔く者ではないからです。何よりも、他者は敵ではなく、人間だからです。憎むべき悪者ではなく、対話すべき相手だからです。わたしたちは、暴力的なストーリーに典型的な、世界を善と悪に二分する見方を避けなければなりません」と呼びかけられた。
信仰と希望と愛を生きる東方教会の信者たちに感謝し、祝福をおくられた教皇は、「皆さんの力強い祈りをもって、教会とわたしの教皇職のために取り次いでください」と願われた。