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バチカンで開催された、子どもの権利をめぐる「世界リーダー・サミット」 2025年2月3日 バチカン宮殿 バチカンで開催された、子どもの権利をめぐる「世界リーダー・サミット」 2025年2月3日 バチカン宮殿  (ANSA)

教皇「子どものいのちを奪うことは、未来を否定すること」

子どもの権利をめぐる「世界リーダー・サミット」が、バチカンで開催された。

 子どもの権利をめぐる「世界リーダー・サミット」が、2月3日、バチカンで開かれた。

 教皇庁の「世界こどもの日委員会」が企画したこの会議は、「子どもたちを愛し、守ろう」をテーマに、政治・教育・経済・宗教、文化、スポーツ、テクノロジーなど、様々な分野のリーダーや専門家が参加し、子どもたちが置かれた状況や子どもたちの権利を守るための取り組みについて幅広い視点から意見を交換した。

 同会議はバチカン宮殿を会場に、教皇の挨拶より開会し、円卓会議が午前の部・午後の部と行われた。

 教皇は開会の言葉で、今日、いまだ無数の子どもたちの生活が、貧困・戦争・教育の機会の欠如・不正義、搾取によって傷つけられている現状を直視された。

 戦争や貧困のない場所でも、子どもたちはその弱い立場ゆえに、決して無視できない様々な問題の犠牲になっており、幼い時から多くの困難に苦しんだ体験が、青少年になってから不安や鬱、攻撃性や自傷行為などに結びつくこともある、と教皇は指摘。

 社会の希望のしるしであるはずの若者たちが、希望を見出せずに苦しんでいるのを見ることは、悲しく憂慮すべきこと、と話された。

 わたしたちが残念ながらこのところ毎日目にしているように、子どもたちが爆撃の下で亡くなり、権力や、イデオロギー、ナショナリズムの偶像の生け贄にされていることを決して認めてはならない、と教皇は述べ、「子どものいのちはかけがえのないものであり、子どもたちのいのちを奪うことは、未来を否定すること」と強調された。

 教皇は、希望を求める移住の旅のさなかに、海や砂漠でいのちを落とした多くの子どもたちに思いを向けると同時に、発展した国々においても、子どもたちが守られ育まれる代わりに、虐待を受けたり、さらにはいのちを断たれる例にも言及された。

 このようなことは受け入れがたいことであり、わたしたちはそれに決して慣れてはならない、と教皇は警告。ある種のメディアのあり方によって、人類は無関心に、そのメンタリティーは頑なになり、人間の心が持つ最も尊いもの、すなわち、憐みやいつくしみを失いつつある、と危惧された。

 「今日、暴力や、搾取、不公正の中で生きる子どもたちの声に耳を傾けることは、戦争や切り捨ての文化に対する、われわれの『ノー』を強めることにつながる」と述べた教皇は、「子どもたちは観察し、理解し、記憶する。そして、その表情と沈黙で、わたしたちに語りかけている。子どもたちに耳を傾けよう」と呼びかけられた。

 教皇は、子どもたちとその権利、夢、未来に焦点を当てた同会議に希望を見出されると共に、この会議の成果が、子どものためのより良い世界、すなわち、すべての人にとってのより良い世界の構築に貢献することを願われた。

03 2月 2025, 18:26