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教皇「ヨーロッパが戦争の火種を消し、希望の光を灯すように」

教皇フランシスコは、訪問先リスボンで、ポルトガルの各界代表と会見された。

 8月2日(水)、教皇フランシスコは、リスボンのベレン文化センターで、ポルトガルの各界代表および同国駐在の外交団と会見された。

 この席で、多様な民族と文化を擁する出会いの都市リスボンを訪れた喜びを表された教皇は、ワールドユースデーが開催されるこの日々、リスボンはいっそう世界的な都市に、ある意味で世界の首都になった、と話された。

 また、ポルトガルの多民族・多文化な性格、国際性は、より新しく広い水平線に向かって探索、航海しながら、世界に対し自らを開きたいという情熱にその根源を持っているとの考えを述べられた。

 「ヨーロッパ」という名称の語源に諸説ある中で、まさに「西方」を表す言葉にそれが由来しているという一説を教皇は紹介。

 その西方=ヨーロッパの中でさらに最も西方にある首都リスボンは、ポルトガルが共通の言語を通じてすでに他の大陸ともつながっているように、いっそう大きな出会いへと導く道を切り開いていくよう呼びかけている、と語られた。

 教皇は、世界はヨーロッパがその東方と地中海地域、すなわち中東とアフリカにおいて橋を架ける者、調停者としての役割を果たすことを必要としていると述べ、今回のワールドユースデーが、この「古い大陸」にとって、改めて世界へと大きく開く動力となることを願われた。

 「歴史の大海の中で、今わたしたちは嵐の波間を航海しながら、平和へと向かう勇気ある針路が欠如していることに気がついている」と話す教皇は、「ヨーロッパよ、ウクライナでの戦争と世界各地の流血の紛争を終結させるために、平和のプロセスを、創造的な道のりを示さずして、どこに行こうとしているのか」と問いかけられた。

 そして、教皇は、西洋の中心であるヨーロッパがその創意を生かし、戦争の火種を消し、希望の光を灯すことを夢見ている、と語られた。

 教皇はまた、今日の発展したはずの世界が、人のいのちを守るという優先課題に矛盾して、むしろ利益第一主義から来るいのちの使い捨てという危険を冒している現実を指摘。

 「ヨーロッパよ、西洋よ、高齢者を排除し、鉄条網を張り、海での悲劇や、からの揺りかごと共に、どこに向かって航海するのか。生きづらさに対して、死への安易なアクセスや、一見甘いようで現実には海の水より苦い、楽な解決法のような、性急で誤った手段を差し出しながら、どこに行こうとしているのか」と再び問われた。

 「ワールドユースデーのために世界から訪れている若者たちは、一致と平和と兄弟愛への情熱を育みつつ、彼らの夢である善を実現するようにわたしたちを招いている。それは怒りを叫ぶ道ではなく、福音の希望を分かち合う道である」と教皇は強調。

 各地で抗議と不満の空気と、ポピュリズムや陰謀論の土壌を感じる今日、ワールドユースデーを、「共に構築する」ための機会、新しい創造の熱意を取り戻させ、沖に出て未来に漕ぎ出すための機会として示された。

02 8月 2023, 16:18