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教皇フランシスコ 2023年5月3日の一般謁見 バチカン・聖ペトロ広場 教皇フランシスコ 2023年5月3日の一般謁見 バチカン・聖ペトロ広場  (ANSA)

「ハンガリー司牧訪問を終えて」教皇一般謁見

教皇フランシスコは、5月3日(水)の一般謁見で、先日行われたハンガリー司牧訪問について報告された。

 教皇フランシスコは、5月3日、バチカンの聖ペトロ広場で、水曜日恒例の一般謁見を行われた。

 謁見中、教皇は、先日行われたばかりの、3日間にわたるハンガリー司牧訪問(2023年4月28日‐4月30日)について報告された。

 教皇の講話の要旨は次のとおり。

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 3日前、わたしはハンガリー司牧訪問から戻った。ハンガリー政府、教会、国民の皆さんをはじめ、この訪問の準備に携わった人々、祈りをもって見守ってくれた人々、これらすべての人々に深く感謝したい。

 今日、このハンガリー訪問を、「ルーツ」と「橋」という二つのイメージを通して振り返りたい。

 「ルーツ」。わたしが巡礼者として訪れたハンガリーは、聖ヨハネ・パウロ2世の言葉を借りれば、「多くの聖人と英雄、そして彼らを取り囲む謙遜で勤勉な人々の群れ」(1996年9月6日、ブダペストにおける歓迎式での挨拶)に特徴づけられる国である。まさにこのように、わたしは素朴で働き者の多くの人たちが、誇りをもって自分たちのルーツとの絆を守っているのを見た。

 わたしがハンガリーのカトリック教会関係者や、若者たちとの出会いで述べたように、これらのルーツの中には、第一に聖人たちの存在がある。聖人たちは人々のために命を捧げ、愛の福音を証しし、闇の中の光となった。過去の多くの聖人たちは、今日、悲観主義と明日への恐れを克服するよう励ましながら、「キリストはわたしたちの未来」であることを思い出させている。

 しかし、ハンガリーの人々の堅固なキリスト教的ルーツは苦難にさらされ、彼らの信仰は火の試練を受けた。20世紀の無神論主義による迫害で、キリスト者は激しい弾圧にあい、司教、司祭、修道者、信徒たちは殺害されたり、自由を奪われることになった。だが、信仰の木が切り倒されようとする中、根はそのままに残った。それは隠れた教会であったが、福音の力によって強く生かされたものであった。

 共産主義下の弾圧に先立つ、ナチスによる迫害では、多くのユダヤ人たちの強制連行という悲劇が起きた。この残忍なジェノサイドにおいて、多くの人が抵抗を示し、犠牲者たちを守ろうとした。これが可能であったのは、共存の固いルーツが基盤にあったからである。ローマには、これらの試練を過去に受けたハンガリー出身の優れた一人の詩人が暮らし、若者たちに理想のために戦う必要を語っている。この詩人は今日、92歳の誕生日を迎えた。エディス・ブリュックさん、おめでとうございます。

 ハンガリーの若者や文化人たちとの出会いでも浮かび上がったように、今日、自由は特に消費主義などの脅威にさらされている。消費主義は、少しの物質的な幸福で人に満足を与え、過去を忘れさせ、個人それぞれに都合よく作り上げた現在の中に浮遊させる。しかし、皆が自分のことだけを考え、自分が好きなことだけを大切にすれば、根は呼吸できなくなる。

 これはヨーロッパ全体に言える問題である。他者のために尽くす、共同体感覚を持つ、共に夢を見る、たくさんの家族を作る、これらのことは今、危機に瀕している。ルーツを保つのが大切なのは、根を深く張ることでこそ、枝は高く伸び、実をもたらすからである。

 「ルーツ」に次ぐもう一つのイメージは「橋」である。ブダペストは150年前に3つの町が一つになって生まれた。ブダペストはこれらの地区を結ぶ橋によっても知られている。ハンガリーの各界代表との会見で、この橋のイメージをもって、異なる民族間に平和の橋を築く重要性を思い出させた。

 特にヨーロッパの「平和の橋を架ける者」としての召命は、多様性を受容し、その扉をたたく人たちを迎え入れることにある。その意味において、ウクライナからの多くの避難民のために築かれた「人道の橋」と、ハンガリーの教会の支援ネットワークは素晴らしいものである。

 ハンガリーは「未来にかける橋」の構築にも取り組んでいる。環境保護と持続可能な未来に大きな関心を持ち、若者と高齢者の「世代間の橋」を築くことにも努力している。

 また、ハンガリーの教会は、現代の人々にイエスと出会うことができるよう手を差し伸べると共に、カトリック教会の異なる典礼間、キリスト教の諸教会間、さらに諸宗教間に、一致と調和の橋をかけるように招かれている。

 5月の始まりにあたり、ハンガリーの人々が大きな信心を持つ聖母を思い起こしたい。ハンガリーの最初の王、聖ステファノ(イシュトヴァーン1世)はハンガリーの人々を聖母に奉献した。かつて彼らは大きな崇敬から聖母の名を直接呼ばず、「元后・女王」と呼んでいた。ハンガリーの元后にこの愛する国を、平和の元后に世界にかける橋を託し、天の元后にわたしたちの心を委ねながら、その心が神の愛に根差しているようにと祈ろう。

03 5月 2023, 14:52