教皇「労働者を保護しない社会は、切り捨ての文化の奴隷に」

　教皇フランシスコは、3月9日、イタリアの全国労災害保険協会（INAIL）の責任者および職員らとお会いになった。

　この集いで教皇は、労働災害を予防し、労災被災者に寄り添い、その家族の生活を保証する同協会の貴重な仕事に感謝を表された。

　労働者の保護をしない社会は、ますます「切り捨ての文化」の奴隷になってしまう、と教皇は述べ、労働者に人間の尊厳を認めず、「生産する者だけに価値がある」と人を使い捨てる傾向は恐ろしいことである、と話された。

　労働現場において、安全管理のために投資しないことが、労働災害の増加の一つの原因になっていると話す教皇は、人命と健康に値段はない、お金や利害とそれらを交換することはできない、と強調された。

　教皇は、人間を中心に置くことを推進するために、「労働の意味」や、職場と通勤環境を含めた仕事の質のケアについて考察を深めるよう招かれ、「労働の劣化は、民主主義と社会の絆を弱めてしまう」と説かれた。

　他者の苦しみに無関心でいないように、神の愛を反映するあわれみと優しさを持つように、と関係者に願われた教皇は、「わたしたちの保険は、何よりもまず連帯と愛から与えられる」と話された。