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「神は皆さんの手の中に未来を置かれた」教皇、若者たちに

教皇フランシスコは、コンゴ民主共和国の若者およびカテキスタたちとの集いを持たれた。

 教皇フランシスコのコンゴ民主共和国司牧訪問は、3日目に入った。

 現地時間2月2日午前、教皇は首都キンシャサで同国の若者およびカテキスタたちとの集いを持たれた。

 会場の殉教者スタジアムは、早朝から詰めかけた6万5千人の参加者の歌や歓声、思い思いのダンスや演奏であふれた。

 旗やバンダナを振る若者たちの間には、平和を望むメッセージを掲げた参加者らの姿も見られた。

 教皇は長く待たれた出会いを喜びながら、若者たちがこの祝祭の中で歌い踊り、空に向けて上げる「手」に注目した説教を行われた。

 若者らに自分たちの手を開いて見つめるよう招かれた教皇は、「神は皆さんの手の中に、いのちの賜物を、社会とこの偉大な国の未来を置かれました」と話された。

 「皆さんの手は、小さく、弱く、空っぽで、そのような大きな使命には向かないと思いますか?ここで気づいて欲しいことがあります。誰の手も、他の人の手とは同じではないということです。あなたの手が、他の誰とも同じではないこと、それはあなたが独自のかけがえのない豊かさを持っているということです。」

 「この手で何ができるかを考えてみましょう。築くことですか。それとも壊すことですか。与えることですか、あるいは独占することでしょうか。手を握り締めると拳になります。また、手を開いて、神と人々のために奉仕することもできます。そこに本質的な選択があるのです。」

 「今とは異なる未来を夢見る若者たち、あなたの手から明日が生まれ、あなたの手からこの国に欠けている平和が生まれるかもしれないのです。」

 教皇はこのように語りかけた後、自らの手で未来を作り出すために何が具体的に必要かを若者たちに助言された。

 未来を作る要素を5本の指にたとえた教皇は、その5つの要素「祈り」「共同体」「誠実さ」「赦し」「奉仕」の大切さについて、一つひとつ説明された。

 「祈り」(親指)は抽象的に見えるが、最も重要なものであり、常に新しい状況に心を開き、怖れを克服させ、自分たちが万能ではないことを思い出させる、と教皇は指摘。自分だけで何でもできると思う者は、根のない大木と同じで、立ち続けることができない。祈りと神のみことばに根を張ることで、毎日深いところから成長し、実をつけ、汚れた空気をきれいなものにすることができる。祈りは木を成長させる「魂の水」である、と語った。

 「共同体」(人差し指)の大切さについて教皇は、自分のことだけを考える生き方は一見魅力的でも、それはエゴイズムに満ちた偽の天国に過ぎず、いつかは心に大きな空洞を作ってしまうと述べ、一人ひとりが教会や国、また他者にとって、不可欠で、責任ある存在であることを思い出させた。

 「誠実さ」(中指)はキリストを証しする者にとって本質的なものと述べた教皇は、誠実、正直であるとは、社会の腐敗の罠に陥らず、聖パウロが言うように、悪に負けず、善をもって悪に打ち勝つことであると話し、「腐敗にノーと言おう」と若者たちに呼びかけた。

 「赦し」(薬指)は、他の要素(他の指)と比べて、最も上げることが難しいもの、と教皇は指摘。「しかし、弱さの中の力こそが、前進させる力となり、人を赦すことを助ける」、「赦すとは忘れることを意味せず、それが繰り返されないようにと諦めないことである」と説いた。教皇は、自分を傷つけた人のことを沈黙のうちに考えるようにと、若者たちを1分間の沈黙へと招き、「神の御前でのこの沈黙から、赦しは生まれる」と語った。

 「奉仕」(小指)は、「その小ささ、自ら小さくなるという態度ゆえに、神を惹きつけるもの」と教皇は述べ、「奉仕は世界を変える力」であると話された。教皇は、会場のカテキスタたちの日頃の奉仕に感謝を表すと共に、「奉仕する者は、自らを小さくする」と説かれた。

 教皇は、「決して、失望してはいけません。失望にとらわれた時は、福音書を手に取ってください。イエスが皆さんに力を与えるでしょう」と、コンゴ民主共和国の若者たちに大きな励ましを与えられた。

 

 

02 2月 2023, 13:05