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教皇フランシスコ 教皇フランシスコ  (Vatican News)

世界人身取引に反対する祈りと啓発の日:教皇のメッセージ

「世界人身取引に反対する祈りと啓発の日」、教皇フランシスコはビデオを通しメッセージをおくられた。

 カトリック教会の暦で聖ジュゼッピーナ・バキータの日、2月8日、「世界人身取引に反対する祈りと啓発の日」が記念された。

 聖ジュゼッピーナ・バキータ(スーダン1868 — イタリア1947)は、7歳で奴隷商人に誘拐され、その時のトラウマにより自分の名前とアイデンティティーを失った。バキータ(幸運な者)という名前を与えられ、奴隷として何度も取引され、心身共に壮絶な体験をした。16歳でイタリア領事の家庭に引き取られ、ようやく平穏な生活を得た。その後、領事の友人一家の娘の子守りとして、イタリアに渡った。一家の夫婦が再びアフリカに戻った時、彼らの娘と共に一時ベネチアのカノッサ修道女会に預けられ、その時キリスト教信仰に深く接することになった。一家が娘とバキータを連れ戻しに来た時、20歳になっていた彼女は、洗礼を受けてそのまま修道院に残りたいと、勇気をもって決意。やがて、その願いはかなえられ、信仰の歩みのうちに修道女となり、その愛徳によって人々を感化した。

 女子修道会の国際総長会議(UISG)は、聖バキータの日、2月8日を「世界人身取引に反対する祈りと啓発の日」として定め、人身取引についてよく知り、人身取引をなくすために、また被害者たちのために祈るよう招いている。

 教皇はビデオメッセージで、人身取引の被害者の保護者、聖バキータの日に、「第9回世界人身取引に反対する祈りと啓発の日(テーマ:尊厳のために歩む)」を記念するすべての人々に精神的一致を示された。

 教皇は、特に若い人々に、自分たちの、また出会う人々の尊厳を大切にしながら、希望を生き生きと保つことに貢献するように、キリストこそ真の喜びであることを知り、神のみことばと共に喜びを心に持つようにと招かれた。

 人身取引は尊厳を歪め、搾取し服従させることは自由を制限し、人を使い捨ての存在にしてしまう、と教皇は話した。

 人身取引のシステムは、多くの人々に不安定な生活を余儀なくさせる不正義と不平等を悪用している、と述べた教皇は、特に経済危機や、戦争、気候変動などで貧しくなった人々が犠牲になりやすく、移民や、女性、子ども、さらには多くの夢を持ち尊厳ある生活を望む若者たちまでを襲いながら、人身取引は憂慮すべき拡大を見せている、と語った。

 教皇は、困難なこの時代にあって、特に若い人をはじめ、すべての人は、キリストとその福音から来る光を広げるための、善のネットワークを築くよう呼ばれている、と強調された。

 近日ローマで、この記念日のために長年働くグループの若い代表らに象徴的に「ともし火」が手渡され、これによって皆が人間の尊厳と、人身取引反対のミッショナリーとして派遣されることを教皇は紹介。これによって2024年の同記念日までの一年間、特別年が行われることを予告された。

 教皇は、人身取引に反対し、誰も取り残されることがないように、尊厳のために歩もう、と呼びかけられた。

 そして、「目を開いて歩み」、若い人をはじめ、多くの人が取引され、冷酷に搾取されるそのプロセスを見極め、「注意深い心で歩み」、自由と尊厳の日々の道のりを発見し、支え、「希望の足取りで歩み」、人身取引反対の行動を推進し、「手を取り合って歩み」、互いに支え合い、出会いの文化を築くよう、アピールされた。

 教皇は、主の祝福と、聖母の保護、聖バキータの取次ぎを祈りながら、人身取引反対のために働く人々、またこの尊厳のための歩みの中で出会うすべての人々を祝福された。

08 2月 2023, 14:17