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ハンセン病に関する国際シンポジウム  2023年1月23日  ハンセン病に関する国際シンポジウム  2023年1月23日  

ハンセン病に関する国際シンポジウムに教皇のメッセージ

教皇フランシスコは、バチカンで開催されたハンセン病に関する国際シンポジウムにメッセージをおくられた。

「ハンセン病に関するバチカンでの国際シンポジウム〜誰一人取り残さない〜」が、1月23日、アウグスティニアーヌム教父学研究所の講堂で開幕した。

 同シンポジウムは、教皇庁総合人間開発省、ラウル・フォレロー財団、アミーチ・ディ・ラウルフォレロー協会、笹川ハンセン病イニシアチブ(笹川保健財団)の共催によるもの。

 バチカンでは、2016年6月、ハンセン病と差別を考える初回の国際シンポジウム、「ハンセン病患者・回復者の尊厳の尊重と総合的なケアへ向けて」が開催されている。

 2回目となるこのたびのシンポジウムは、その後のハンセン病対策の進展と課題の検証や、新型コロナウィルスによるパンデミックが社会的弱者、特に疾病による障害者のコミュニティに与えた影響を考察する機会となった。

 2日間にわたるシンポジウムの初日、教皇フランシスコから参加者らに宛てたメッセージが、教皇庁総合人間開発省次官アレッサンドラ・スメリッリ修道女によって代読された。

 このメッセージで教皇は、しばしば忘れられ、社会から見捨てられているハンセン病患者のために取り組む人々に感謝を表され、最も弱い立場の人たちを世話し、彼らに拒まれた権利と尊厳を返すためにかがみ込む、善きサマリア人の姿をこれらの人々と重ねられた。

 教皇は、このシンポジウムが第70回目を迎える「世界ハンセン病デー」の数日前に開催されたことに言及。この記念日が1953年、根絶されたと多くの人に思われていた病気への関心を高めるために、ラウル・フォレローによって始められたことを思い起こされた。

 今日、過去以上に心配すべきことは、この病気だけでなく、人々までもが忘れられかねないことである、と教皇は指摘。

 世界各地でハンセン病に結びつけられたスティグマがもたらし続ける人権の重大な侵害に触れつつ、われわれは多くの面で成長しても、発展した社会の、最も弱い立場の人々を見守り、世話し、支えることにおいて無知であり、自分たちに直接関わらないかぎり、目をそらし、通り過ぎ、状況を無視することに慣れてしまっている、と述べている。

 教皇は、これらの兄弟姉妹を忘れず、特に恵まれない社会を背景にまだ多くの人を襲うこの病気を無視することがないようにと願われた。

 そして、「世界ハンセン病デー」を機会に、わたちたちの発展モデルを見直し、それがもたらす差別を告発し、正すように努め、誰一人片隅に取り残されない、インクルーシブな社会を構築するよう改めて取り組む必要を説かれた。

 こうした中、教皇は、ハンセン病の患者たちを、基本的人権享受のための、また社会の完全な一員として生活するための闘いにおける主役として尊重しつつ、これらの人々といかによりよく協力していくかを具体的に考えなくてはならない、と述べている。

 教皇は、ハンセン病に苦しむ人々にご自身の寄り添いを表明されると共に、これらの人に精神的支えと医療サービスが欠けることがないよう、今後の活動を励まされた。

 教皇は、関係者らに、聖母と、ハンセン病患者においてキリストに仕えた多くの聖人たちの支えがあるよう祈りながら、祝福を与えられた。

 教皇のメッセージに続き、教皇庁総合人間開発省次官 アレッサンドラ・スメリッリ修道女や、WHO(世界保健機関)ハンセン病制圧特別大使、日本財団会長の笹川陽平氏ら、共催者代表による挨拶が行われたほか、国連人権高等弁務官のフォルカー・トゥルク氏や、世界保健機関のテドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長などから寄せられたビデオメッセージが紹介された。

 次いで、同会場で、「グローバル・アピール2023~ハンセン病患者と回復者に対する社会的差別の撤廃に向けて~」の宣言が行われた。

 同シンポジウムでは、「ハンセン病と病気にまつわる問題のない社会、さらには、『誰一人取り残さない』インクルーシブな社会を実現するために、今、どのようなアクションが必要とされるか」をめぐり、講演や、パネル討論、証言などが、24日まで続けられる。

23 1月 2023, 14:12