無原罪の聖マリア：教皇、スペイン広場訪問、聖母に平和祈る

　12月8日(木)、「無原罪の聖マリア」の祭日を迎え、教皇フランシスコは聖母に捧げる様々な行事をとり行われた。

　「無原罪の聖マリア」の祭日は、聖母マリアが「その母の体内にやどった瞬間において、全能の神の特別な恩恵と特典によって、人類の救い主キリストの功績を考慮に入れ、原罪のすべての汚れから前もって守られた」ことを祝うもの。

　この聖母の祭日、まず、教皇は正午にバチカンの広場の巡礼者と共に「お告げの祈り」を唱えられた。

　続いて、教皇は夕方からローマ市内の聖マリア大聖堂（サンタ・マリア・マッジョーレ）を訪れ、同大聖堂に伝わる聖母子画「サルス・ポプリ・ロマーニ（ローマ人の救い）」を掲げた礼拝堂で祈りの時を持たれた。

　一日の最後に、教皇はローマの繁華街スペイン広場を訪問。聖母に捧げたモニュメントの前で献花と祈りを行われた。

　スペイン広場とつながるミニャネッリ広場には、ブロンズ製の聖母像を頂点に据えた大理石柱がそびえている。このモニュメントは、1854年12月8日に教皇ピオ9世により無原罪の御宿りが正式に信仰箇条として宣言されてから、3年後の1857年に建立された。

　この朝、柱の頂上の聖母像の腕にローマ市の消防団によって花輪がかけられたことに始まり、市民や団体により記念碑の下は花でいっぱいになった。

　教皇がこの記念碑に赴くのは毎年恒例であるが、一昨年と昨年は、新型コロナウイルスの感染拡大防止を考慮し、教皇は夜明け前に訪れ、会衆のいない広場で祈られた。

　今年は、教皇が会衆と共に祈るのは2年ぶりとあり、広場周辺は大勢の市民であふれた。

　到着された教皇は、記念碑の下で、白い薔薇を盛った大きな花籠を祝別。バチカン職員の手を通し献花を行われた。

　聖母の連祷が参加者らによって歌い唱えられた後、教皇による祈りが行われた.

　この中で教皇は「無原罪の御母」に、たくさんの花で表されたローマ市民の「愛と崇敬」と共に、多くの人々の隠された沈黙の祈りによる「見えない花」をも受け取って欲しい、と願われた。

　そして、教皇は「たちこめる暗い霧の中の希望と慰めのしるし」である聖母に、子どもたちや、お年寄り、若い夫婦ら、家族たちの日々の喜びと苦しみ、また、特に青少年らの夢と不安、成長と未来をその保護に託された。

　「無原罪のおとめよ、長い間平和を主に祈ってきたウクライナの人々の感謝を、今日ここでお伝えするはずでした」と述べた教皇は、涙と共にしばし言葉を詰まらせた。

　「しかし、いまだに、苦しむ彼の地の子どもたち、高齢者、親たち、若者らの懇願をあなたに差し出さねばなりません」と教皇は続けながら、「あなたが十字架の下で御子のそばに留まられたように、あなたが彼らと、苦しむすべての人々と、共におられることを知っています」と、聖母に信頼を寄せられた。

　教皇は「無原罪のあなたを見つめるわたしたちが、愛が憎しみを超え、真理が欺瞞に勝利し、赦しが侮辱にまさり、平和が戦争に打ち勝つと、信じ、希望し続けることができますように」と祈願された。

　集いの終わりに、教皇は人々に祝福をおくられた。