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「悪に対し善で返し、復讐の連鎖を断ち切る」教皇、バーレーンでミサ

 バーレーン訪問中の教皇フランシスコは、滞在3日目、11月5日(土)午前、アワリの国立競技場でミサをとり行われた。

 この教皇ミサには、カトリック教会の北アラビア代牧区に属する国々、バーレーンをはじめ、クウェート、カタール、サウジアラビア、またその他の湾岸諸国から、およそ3万人の信者が参列した。

 教皇は、これらの信者たちの穏やかで喜びに満ちた兄弟愛、平和の種をまく者としての証しに感謝を表すと同時に、彼らに対する普遍の教会の抱擁と愛、励ましを伝えられた。

 平和と正義を意向としたこのミサで、教皇は平和の構築のためにイエスの愛の力に学ぶよう招かれた。

 わたしたちはしばしば権力を求めれば求めるほど、平和が脅かされるという現状を目にしていると教皇は指摘。

 これに対して、イザヤ書がその訪れを告げる「平和の君」(イザヤ9,5)は、戦を率いる指揮官ではなく、人々を神と、また隣人と和解させる方である、と話した。

 「キリストの権力とは愛である」と述べた教皇は、キリストはわたしたちにもご自身が人々を愛されたのと同じ仕方で、すなわち、その御名において「常に」「すべての人」を無条件な愛をもって愛するようにと願われている、と話された。

 「常に愛する」とは、イエスの愛にいつも忠実に留まり、いかなる状況、たとえ悪や敵を前にした状況でも、イエスの愛を心に育み、それを実践することである、と教皇は述べた。

 「わたしは言っておく。悪人に手向かってはならない。だれかがあなたの右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい」(マタイ5,39)というイエスの言葉はわたしたちに何を教えているのか、と教皇は問いつつ、それは兄弟愛のあふれる世界をただ夢見るのではなく、自らが普遍的兄弟愛を勇気をもって具体的に生きることから始めるようにと、また悪を受けても善をもって返し、復讐の連鎖を断ち切るようにと教えているのである、と話された。

 イエスの教えは、人類が抱える大きな問題だけでなく、わたしたちの日常生活、職場や社会においても言えることと述べた教皇は、ひどい言葉にさらにひどい言葉をもって返したり、頬を打たれて相手の頬を打ち返すことを続けていたら、平和を再び取り戻すことはできない、暴力と怨恨の連鎖を断ち切ることが必要、と語った。

 また、「すべての人を愛する」ことについて、教皇は、今日の多様性に満ちた世界において、自分の家族や友人、自分を愛してくれる人や自分と似た人たちだけではなく、自分と異なる考え、習慣、伝統を持つ人々とも共存する必要が生じるが、こうした中で、「自分を愛してくれる人を愛したところで、あなたがたにどんな報いがあろうか」(マタイ5,39)というイエスの言葉を、天の父の子らとして兄弟的世界を築くための真の挑戦として受け取っていかねばならない、と話した。

 「敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい」(同5,44)と、イエスは敵をも愛することを教えている。それは敵を持たないという選択、他者を克服すべき障害としてではなく、愛するべき兄弟姉妹として見ることを意味している、と教皇は説明。

 敵を愛することは地上に天の反映をもたらし、「悪人にも善人にも太陽を昇らせ、正しい者にも正しくない者にも雨を降らせてくださる」(同5,45)御父の眼差しと心を世に伝えてくれる、と語られた。

 イエスはご自分と同じように愛するようわたしたちを招くが、それは人間の努力でなせることではなく、何よりも恵みによるもの、と述べた教皇は「イエスよ、あなたのように愛することができるように教えてください」と、その恵みを祈り求められた。

 

05 11月 2022, 15:17