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教皇フランシスコ バーレーンからの帰国便内の記者会見で 2022年11月6日 教皇フランシスコ バーレーンからの帰国便内の記者会見で 2022年11月6日  (AFP or licensors)

教皇、バーレーンからの帰国便機内で記者団と

教皇フランシスコは、バーレーン訪問からの帰国便の機内で記者団と対話された。

 教皇フランシスコは、11月6日、バーレーン訪問終了後、帰国のための特別機機内で、随行の記者団と対話された。

 この会見では主に、終えたばかりのバーレーン訪問や、諸宗教対話などがテーマとなった。

 バーレーン訪問の手応え、また社会における宗教・民族・性別などの違いを超えた共存を推進する同国の努力について問われた教皇は、すべての人に開かれた文化から受けた新鮮な印象を振り返った。

 バーレーンではすべての人に居場所がある、と話す教皇は、国王も述べていたとおり、人々はそれぞれ自由な選択ができ、たとえば女性が働きたいと思えば、働くことができ、また、その開かれた性格は、宗教に関しても言えることである、と語った。

 また、教皇は、バーレーンで働き生活する、フィリピンやインド・ケララ州出身の多くのキリスト教徒の存在に胸を打たれた、と話した。

 この訪問は「出会いの旅」であった、と教皇は述べつつ、アル=アズハル・モスクのグランド・イマーム、アフマド・アル・タイーブ師をはじめイスラム教指導者らとの諸宗教対話、また正教会のエキュメニカル総主教バルトロメオス1世らキリスト教諸教会代表とのエキュメニカル対話を思い起こされた。

 教皇は、アフマド・アル・タイーブ師がイスラム教間のそれぞれの違いやアイデンティティーを尊重した一致の方向を考えているように、キリスト教間の一致や、他の宗教との対話を進めるには、自分のアイデンティティーを持っていなくてはならない、と強調。

 自身のアイデンティティーなしでは、対話は、行き先も到着点もない、実態のない困難なものとなる、と話した。

 イスラム長老評議会との会見で、イスラム関係者が被造物とその保護について言及したことに強い印象を受けた、と教皇は述べ、環境問題はイスラム教、キリスト教、そして皆が憂慮する問題になっている、と語った。

 教皇は、「(この日)バーレーンから(COP27会議のために)カイロへ、バチカンの国務長官とアフマド・アル・タイーブ師が兄弟のように共に同じ飛行機で向かっているが、これは非常に感慨深いこと」と述べた。

 教皇はこの記者会見で、アブダビで3年前にアル・タイーブ師と署名した共同文書「世界平和のための人類の兄弟愛」が生まれた経緯についても説明。

 同師が表敬のためバチカンを訪れた際、フォーマルな会見を行ったが、それが終わり、退出しようとする同師を見送りに出ながら、ちょうど昼どきだったので、「お昼はどこで召し上がるのですか」「一緒に昼食をいかがですか」と招き、それぞれの秘書や顧問と一緒に非常に兄弟的な雰囲気の中で食事をした。その食事が終わる頃、この出会いをもとにした文書を作らないかという話になったと、その時の様子を回顧した。

 そして同師と草案を交換しながら文書をまとめ、アブダビ訪問の際にそれを発表する運びとなったが、「これは神のおかげとしか思えない、誰もそのようなことは考えてもいなかったのだから」と教皇は語った。

 バーレーンで教皇は女性の権利と尊厳をも含めた基本的人権について話したが、近くのイランでは(スカーフの着用をめぐり)女性たちによる抗議が起きている、との記者の言及に、教皇は、「男性と女性の平等はどこにでもあるとはまだ言えない。女性であることは一つの恵みであり、男女平等が普遍的なものとなるよう闘い続けなくてはならない」と話した。

 「神は男と女を同じように作られた。女性を公的生活から消す社会は、自ら貧しくなる社会である。権利の平等はもちろん、機会の均等も必要だ。共に前進するための平等が必要であり、そうでなければその社会は疲弊する」と述べつつ、教皇は、女性たちの権利だけでなく、女性たちの社会進出のために取り組み、わたしたちが女性たちのおかげで変わることができるように、と呼びかけた。

 ロシアとウクライナ間の和平交渉に対するバチカン側の動きについての問いに、教皇は、バチカンはこの問題に継続的な関心を注ぎ、国務省および外務局長がそのために多くの働きをしていると答え、解決模索のための接触や、人質をめぐる働きかけなどに言及した。

 教皇は、先の2つの世界大戦の後、今ウクライナにおいて戦争が起き、さらにシリア、イエメン、エチオピア、ミャンマーなど、いたるところで紛争が続いていることに触れ、「1つの世紀の間に3つもの世界大戦とは」と述べられた。

 戦争の悲惨と無数の戦没者への思いを胸に、教皇は、「ジャーナリストの皆さん、平和主義者であってください。反戦を語り、戦争反対のために努力してください」と記者たちに願われた。

07 11月 2022, 11:40