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移民・難民、一人ひとりの能力を活かすには

教皇庁総合人間開発省は、今年9月25日に記念される「第108回世界移民・難民の日」に向け、「移民・難民と共に築く未来」を教皇フランシスコと一緒に考えるビデオを発表した。

 教皇庁総合人間開発省(長官:マイケル・チェルニー枢機卿)は、今年9月25日に記念される「第108回世界移民・難民の日」に向け、ビデオを発表した。

 教皇フランシスコの2013年のイタリア南部ランペドゥーサ島訪問から7月8日で9年目を迎えた。

 同日発表されたビデオで、教皇は今年の「世界移民・難民の日」のテーマ、「移民・難民と共に築く未来」について一緒に考えるよう信者らを招いている。

 ビデオの中で教皇は、「移民、難民の貢献は、わたしたちの社会の発展のために本質的なものです。彼らに可能性を与えることを通してのみ、その潜在力は発揮されるのです。この潜在力を花開かせるにはどうしたらよいと皆さんは思いますか」と問いかける。

 この問いに対し、移民や移民司牧に携わる人たちが、
「まず、移民たちに耳を傾け、実際にどのような能力を持っているかを聞き、その能力を発見し、育て、それを他者のために役立てるよう助け働きかけること」
「育成において彼らの手を取り、イノベーションと起業の分野で実務を学び、この社会の中で成果を得られるよう見守ること」
「もっと地域の言葉を学ぶコースと、彼らの知識と能力を価値づけるコースを供給すること」
「それぞれのアイデンティティーを尊重することが必要」
「わたしたちには専門性や知識があります。家族、また社会のために、より良い生活を得るよう準備する可能性を持っています」
と、それぞれの意見や思いを述べている。

 そして、ビデオの後半では、南スーダンからケニアに難民として渡ったルーシー・ジュアさんのエピソードが紹介される。

ルーシーさんは、NGOでソーシャル・アシスタントとして働くかたわら、タイダイ染めとパッチワークの技術を生かした手芸製品を作り出している。また、ピーナッツバターを作り、「イエズス会難民サービス(JRS)」に送る活動も行っている。

 ルーシーさんは、「わたしの仕事は、自分が今ではすっかり溶け込んでいるこの支援共同体に社会的・経済的な影響を与えていると思います。特にピーナッツバターの作り方について、わたしに育成指導を求める女性たちがいます。わたしは多くの人、多くの女性を育成し、これらの人々は今、家計を助けるためにピーナッツバターを作っています。市場での原材料購入も支援共同体の経済に貢献しています。わたしたちは難民として何も持たずにやってくるわけではありません。受け入れ先の共同体と分かち合うだけの何らかの知識を持っています。医師もいれば、看護師もいます。また他の職業の人もいて、それはまさに人材です。皆が能力を持っていて、ケニアの経済をより良くすることすらできるのです」と語る。

 こうして最後に、ビデオは「移民と難民の潜在能力の発展を助けるために、わたしたちは何ができますか」と再び問いかけている。

08 7月 2022, 12:00