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教皇フランシスコ、9月1日の「被造物を大切にする世界祈願日」に向けメッセージ 教皇フランシスコ、9月1日の「被造物を大切にする世界祈願日」に向けメッセージ  (AFP or licensors)

教皇「被造物の甘美な歌をこれからも聞くために」

教皇フランシスコは、9月1日に記念される「被造物を大切にする世界祈願日」に先立ち、メッセージを発表された。

 教皇フランシスコは、2022年度の「被造物を大切にする世界祈願日」に向け、メッセージを発表された。

 カトリック教会は、毎年9月1日に「被造物を大切にする世界祈願日」を記念する。

 また、同祈願日から、アッシジの聖フランシスコの日である10 月 4 日まで、約1ヵ月間、被造物の保護のために祈り行動する期間、「被造物の季節」(Season of Creation) が多くのキリスト者の参加のもとに行われる。今年のテーマは、「被造物の声に耳を傾けよう」。

 教皇はこのメッセージで「被造物の声に耳を傾ける」とはどういうことなのかを説いている。

 被造物の声に耳を傾けるならば、わたしたちは創造主である神を称える甘美な歌を聞く一方で、人間の酷い仕打ちを嘆く苦い叫びをも聞くだろう、と教皇は述べている。

 被造物が上げる苦い叫びは、母なる大地の叫びであり、生態系から消えゆく多くの生物の叫び、また、気候危機の影響を最も強く受けている貧しい人々の叫び、先祖からの土地を経済的利益のために搾取される先住民たちの叫び、そして地球のエコシステムの崩壊を食い止めるために可能な限りの努力を望む若者たちの叫びでもある。

 これらの叫びを聞くわたしたちは、深く反省し、被造物にダメージを与える生活様式や習慣を変えなくてはならない、と教皇は記し、そのためには個人的な回心だけでなく、共同体的な回心が必要、と述べている。

 教皇は、2022年11月にエジプトで開催される「国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議」(COP27)、そして、同じく今年12月にカナダで開催される「国連生物多様性条約第15回締約国会議」(COP15)に言及。

 「被造物の季節」を記念する間、COP27、COP15の二つの会議が、気候変動と生物多様性の減少という二重の危機に立ち向かうため、人類を一致させることができるよう祈ろう、と招かれた。

 教皇は、これを機会に、鉱山・石油・森林・不動産・農業・食料に関わる大企業に対し、森林・湿地帯・山々の破壊や、海や河川の汚染、住民や食料への有毒な影響を引き起こすことをやめるよう改めて呼びかけた。

 同時に教皇は、過去に環境をより汚染した経済的に豊かな国々の「環境負債」の存在を認めざるを得ない、としつつ、COP27、COP15会議がこれらの国々にいっそう高い目標への一歩を促すと共に、こうした国々が気候危機の重荷を最も負う経済的に恵まれない国々の財務的・技術的支援を支援する約束を守るよう願われた。

 「喜ぶ人々と共に喜び、泣く人と共に泣く」よう励ます聖パウロの言葉(参照ローマ12,15)を思い出すよう教皇は招きつつ、被造物の苦い叫びを聞いて共に泣き、それに実際の行いをもって応えるならば、わたしたちと未来の世代はこれからも被造物のいのちと希望の甘美な歌を耳にして共に喜ぶことができるだろう、と記された。

 

21 7月 2022, 17:29