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キプロス:「聖バルナバの忍耐と兄弟愛を模範に」教皇、教会関係者に

キプロス訪問を開始された教皇フランシスコは、同国のカトリック教会関係者らとお会いになった。

 12月2日(木)、キプロスを訪れた教皇フランシスコは、最初の行事として同国のカトリック教会関係者らとお会いになった。

 同日午後、ニコシア市内のマロン典礼カトリック教会のカテドラルには、キプロスのカトリック司祭・修道者・助祭・カテキスタ、また信徒の団体や運動の代表者たちが集った。

 キプロスの人口のおよそ8割はキリスト教徒、約2割をイスラム教徒が占めている。キリスト教徒のうち大多数が正教会に属し、カトリック信者は全人口の4.47%である。

 キプロスのキリスト教共同体の誕生は、使徒時代に遡る。キプロスの初期教会の歴史は、偉大な宣教者、聖パウロと聖バルナバ、そして福音記者聖マルコと結びついている。中でもバルナバはキプロス島の出身である。

 教皇はこの出会いで、キプロスの教会の多様性がもたらす豊かさを喜ばれた。

 マロン典礼カトリック教会に向けた挨拶で、教皇は特にレバノンからキプロスにやってきた信者たちに思いを向け、現在レバノンが直面している危機と人々の苦しみに連帯と祈りを示された。

 また、教皇は、ラテン典礼の教会関係者への言葉で、キプロスに古くから存在するラテン典礼の教会は、今日多くの移民の兄弟姉妹たちと共に様々な民族・文化を迎えることになったが、より多様化した教会の姿は、人民の出会いによってモザイクのように織りなされてきたキプロスの歴史と役割そのものである、と話された。

 教皇はこの機会に、キプロスの教会の保護者、使徒聖バルナバの生き方と宣教生活を振り返り、その特徴を「忍耐」と「兄弟愛」という二つの言葉で表された。

 聖バルナバは、深い信仰を持つ均衡の取れた人物としてエルサレムの教会から選ばれ、アンティオキアに派遣された。バルナバは、新しい世界、異なる文化、別の宗教的感受性を持つ人々と接しながら、容易ではない環境の中で旅を続け、神の業のしるしを様々なものに見出し、物事を識別することのできた「忍耐強い」人であった、と教皇は振り返り、わたしたちもバルナバのような、辛抱強い教会を必要としている、と語られた。

 次に、教皇はバルナバのもう一つの特徴として、「兄弟愛」を強調。特にキリスト者への容赦ない迫害者であったサウロ(パウロ)の回心後、皆がまだ彼を恐れていた時、バルナバは「サウロを連れて使徒たちのところへ案内し」(使徒言行録9,27)、サウロの回心の経緯を説明して、彼の保証人となったことを思い起こされた。教皇は、バルナバのこの態度、これこそが「兄弟愛」である、と述べられた。

 パウロとバルナバは兄弟として宣教旅行を共にしたが、特には議論することもあった。やがてパウロとバルナバは、宣教に若いマルコを連れて行くかどうかで意見が衝突し、パウロは、マルコを連れたバルナバとは別行動をとることになったが、それは個人的な理由ではなく、宣教における考え方の違いによるものであった、と教皇は説明。その後、二人はわだかまりを残したわけではなく、実際、パウロは、テモテへの手紙で「マルコを連れてきてください。彼はわたしの務めをよく助けてくれるからです」(2テモテ4,11)と記していることを指摘された。

 これが教会における兄弟愛である、と述べた教皇は、世界の兄弟愛の道具となるために、わたしたちはこうした兄弟愛に満ちた教会を必要としている、と説かれた。

02 12月 2021, 17:02