「レバノンのための考察と祈りの日」バチカンで

バチカンで、「レバノンのための考察と祈りの一日」が行われた。

 教皇フランシスコは、7月1日、バチカンで、レバノンのキリスト教共同体の指導者らと共に、「レバノンのための考察と祈りの一日」を行われた。

 「主なる神は平和の計画を抱かれる。共にレバノンのために」をテーマに、終日行われたこの集いには、同国のカトリック教会(マロン典礼、シリア典礼、メルキト・ギリシャ典礼、カルデア典礼)をはじめ、正教会、アルメニア教会、福音派教会などの指導者らが参加、レバノンの平和と安定のために考察と祈りの時を持った。

 午前中の集いは、聖ペトロ大聖堂で共に唱える「主の祈り」から始まった。参加者らはこの後、聖ペトロの墓前で祈りを捧げた。

 続いて、バチカン宮殿のクレメンスの間で円卓を囲み、ミーティングが行われた。

 参加者らは、サンタ・マルタ館での昼食をはさみ、午後から再びクレメンスの間で意見交換を続けた。

 そして、一日の終わりに、聖ペトロ大聖堂の司教座の祭壇で、平和のためのエキュメニカルな祈りが行われた。

 教皇はこの祈りの場で、すべての参加者に感謝の言葉を述べられた。

 この中で教皇は、この集いのテーマとなった聖書の言葉、「それは平和の計画であって、災いの計画ではない」(エレミヤ29,11)を示しつつ、「この試練にあっても、レバノンは神の平和のご計画の一つである、また、そうでなくてはならないと、すべての力を込めて強調したい」と述べられた。

 レバノンの召命とは、寛容と多元主義の地、諸宗教が出会う兄弟愛のオアシス、多様なコミュニティーが特殊な利益より共通善を優先させながら共存する場所であること、と説く教皇は、レバノンと中東が他者の利害のために利用されることなく、レバノン国民自身がより良い未来の主役となれるようにと願われた。

 教皇は、レバノンの人々は、歴史の最も困難な時にも、進取の精神と勤勉さで知られてきた、と話し、レバノンのシンボルであるレバノン杉は、同国の歴史の繁栄の豊かさを喚起するもの、と語った。

 また、教皇は、レバノン杉の広がる枝は深く張った根からのみ生まれるが、このことは、多様性は障害ではなく可能性であると考え、共有の基盤の上に社会を築くことを知っていた先人たちの模範を思い起こさせる、と話された。

 今日、わたしたちはキリスト者として、共に未来を築く努力を新たにしたい、と述べた教皇は、わたしたちは平和の種を蒔く者、兄弟愛を作り出す者として召されている、と強調。神が示す平和の道を歩み、イスラム教や他の宗教の兄弟姉妹たちと協力し、兄弟愛を築き、平和を推進しようと招かれた。

 教皇は、「夜の黒いとばりの向こうに、あけぼのが待っている」という、レバノン出身の詩人ハリール・ジブラーンの詩の一節を引用。教皇はこの闇の時代に未来の希望を灯すものとして、若者と女性たちの存在を挙げられた。

 夜を通り過ぎなければ、夜明けを迎えられない、と述べた教皇は、危機の夜の中では皆が一致していることが大切、と指摘。誠実な対話と純粋な意図をもつことで、闇のある場所に光をもたらすことができるだろう、と話された。

  教皇は、「争いの夜を消散させ、希望の夜明けが訪れるように。敵対を静め、不和を終わらせ、レバノンに希望の光を再び輝かせることができるように」と祈られた。

01 7月 2021, 20:31