教皇フランシスコと労働者 2017年5月 イタリア・ジェノバの製鉄所訪問で 教皇フランシスコと労働者 2017年5月 イタリア・ジェノバの製鉄所訪問で 

「労働界の片隅にいる人々に対応を」教皇、ILO総会に

教皇フランシスコは、国際労働機関の総会にビデオメッセージをおくられた。

 教皇フランシスコは、国際労働機関(ILO)の総会にビデオを通しメッセージをおくられた。

 国際労働機関は、第109回年次総会をバーチャル形式で開催。5月20日に開幕した総会では、6月3日から19日まで第1部の討議が行われている。第2部は11月25日から12月11日まで予定されている。

 6月17日から2日間、「仕事の世界サミット」として、「人間を中心に据えた新型コロナウイルス対応のための国際行動」をめぐり、スピーチや討議が行われた。

 17日、教皇は関係者に向けたビデオメッセージで、パンデミック危機の影響に巻き込まれた「労働界の片隅にいる人々」に、効果的な対応が行われることを願われた。

 中でも、教皇は「健康促進・疾病予防・治療のための国内プログラムから除外された状態に置かれた人々」、たとえば移民や、不安定な立場の労働者、またその家族たちへの関心を呼びかけられた。

 教皇は、パンデミックが与えた衝撃に対する社会的保護政策の不足が、貧困、失業、低賃金労働、若者の就労の遅れ、児童労働者、人身取引、食料不安などの問題を増幅させていると指摘。

 政府・企業家・労働者の対話の中で、社会的に弱い立場にある人々、特に若者・移民・貧しい人たちが、話し合いの外に置き去りにされることがないように希望された。

 さらに、教皇は、特に、屋台販売者、ホームヘルパーなど、パンデミックの影響を直接受け、健康の危険にさらされている女性労働者たちに思いを向けられた。

 同時に、保育施設の不足のために、子どもたちを保護者なしで家に留守番させざるを得ない、あるいは職場に伴わざるを得ない母親たちへの配慮を促された。

 教皇は、これに関連し、家庭内暴力、奴隷的扱い、労働上の不平等など、女性を取り巻く様々な問題に触れ、女性の権利に対する認識の向上を改めて訴えられた。

 加えて、教皇は、企業家らに労働者のケアを強く望まれたほか、多文化世界に言及、他者の文化を尊重し、それを相互の豊かさに役立てるよう呼びかけられた。

 教皇は、国際労働機関の今回の総会にあたり、「皆さんの責任は重大ですが、得られる善はさらに大きいものです」と、政治家・労働組合・企業家らを励まされた。

17 6月 2021, 16:57