イタリア・ミラノ近郊の病院で 2020年3月 イタリア・ミラノ近郊の病院で 2020年3月 

兄弟愛をもって相互のケアを、「世界病者の日」教皇メッセージ

2021年度「世界病者の日」に向けた、教皇フランシスコのメッセージが発表された。

 今年2月11日、「ルルドの聖母」の日に記念される、カトリック教会の「第29回世界病者の日」に先立ち、教皇フランシスコのメッセージが発表された。

 今年のメッセージのテーマは、「あなたがたの師は一人だけで、あとは皆兄弟なのだ」(マタイ23,8)。

 教皇はこのメッセージで、特に貧しい人々をはじめ、新型コロナウイルスによるパンデミックに苦しむすべての人々に思いを向けている。

 そして、兄弟愛に動かされ、弱い立場の人々を思いやることのできる社会こそが人間的な社会であるとし、健康を優先すべき共通善として示しながら、医療支援の大切さを呼びかけている。

 教皇は、言葉だけで実行の伴わない偽善に注意を促し、誰一人疎外され見捨てられたと感じることのないように、病者との絆を築くよう願われた。

 このパンデミックによって表面化した医療システムの不備や病者への支援の不足に触れる中で、教皇は特に高齢者や社会的に弱い立場の人々に、ケアへのアクセスが必ずしも平等な形で保証されていないことに言及された。

 教皇は、他者に隣人として寄り添った無数の人々の沈黙の群れを思い起しながら、ケアを必要とする人々と彼らをケアする人々との間の、心の通う関係の重要さを強調。いたわりの態度は、苦しむ病者へに慰めを与える「貴重な香油」である、と記された。

 この病者との絆は、キリストの愛(カリタス)に限りない源泉を見出すことができるものであり、実際、キリストの死と復活の神秘からほとばしる愛こそが、病者とケアをする者の双方に深い意味を与えることができる、と教皇は述べている。

 教皇は、「いつくしみの母」「病む者の健康」ある聖母マリアに、わたしたちが兄弟愛をもって互いをケアすることができるよう、助けを祈られた。

12 1月 2021, 15:43