バチカンで開催された人工知能をテーマにした会議 2020年2月27日 バチカンで開催された人工知能をテーマにした会議 2020年2月27日 

教皇「人工知能を善のために活用を」

教皇フランシスコは、教皇庁立生命アカデミーの関係者に、メッセージを通し、挨拶をおくられた。

教皇庁立生命アカデミーは、2月26日から28日まで、定例総会を開催すると共に、今回のテーマである「人工知能」をめぐり、ワークショップを開催していた。

総会最終日、同アカデミー議長、ビンチェンツォ・パリア大司教によって、教皇フランシスコのメッセージが読み上げられた。

教皇は前日からの軽い不調のため、同アカデミー関係者らとの出会いを見送られる一方、この日も、ミサや他の謁見を通常どおり行われた。

教皇は、総会メンバーおよびワークショップ参加者に宛てたメッセージで、人工知能などのテクノロジーの倫理的活用を希望された。

デジタル技術の発展の中でも、特に人工知能は今日の時代の変化の中心にあるもの、と教皇は述べつつ、この技術革新が個人や社会生活の様々な側面に関わり、わたしたち自身や世界に対する考え方、人々の行動や決断をも左右する、その影響を指摘された。

デジタル化は、空間・時間・体の感覚を変え、自身の限界を忘れさせると共に、同一化を要求し、

異なるものを評価することをより困難にさせる、と教皇は話した。

こうした中、社会・経済において、人間は「消費者」という存在に矮小化され、知らないうちに、商業的・政治的目的で、習慣や傾向をめぐるデータをチェックされる。

ある人々はわたしたちのすべてを把握する一方、わたしたちは彼らについて何も知らないまま、批判精神や自由に対する良心を摘み取られてしまう。

このように情報と豊かさを一部の人々に握らせ、社会の民主主義に重大なリスクをもたらすその不均衡に、教皇は注意を促された。

こうした危険の一方で、教皇は、人工知能などの最新技術が与える、大きな可能性にも期待され、これらの技術を、善に用いることができる一つの資源、一つの神の恵み、として捉えられた。

新しいテクノロジーに対し、正しい使用法を伝えるだけでは十分ではない、と述べた教皇は、たとえすぐに利益をもたらさなくても、共通善を忍耐強く追求させるための、広い教育的な努力が必要、と話された。

教皇は、今日の人間と技術の関係をより統合的なものとするために、「人間の尊厳」「正義」「支援」「連帯」を共通の倫理的指標として示された。

28 2月 2020, 17:29