学校の図書館で読書するナイジェリアの子どもたち 学校の図書館で読書するナイジェリアの子どもたち 

「世界広報の日」に向けて、教皇メッセージ、「語り」をテーマに

教皇フランシスコは、今年の「世界広報の日」に向けて、メッセージを発表された。

教皇フランシスコは、2020年度のカトリック教会の「世界広報の日」に先立ちメッセージを発表された。

「世界広報の日」は、福音宣教の中でも、特に新聞・雑誌・テレビ・ラジオ・インターネット・映画などのメディアを用いて行う宣教について、教会全体で考えることを目的としている。

「広報の日」は、毎年、聖霊降臨の直前の日曜日(2020年度は5月24日)に記念されるが、日本の教会においては、それより1週間早い日曜日(復活節第6主日・今年は5月17日)に行われる。

2020年度広報の日のテーマは「『あなたが語り伝え、知るために』(出エジプト10,2)生きることが語りとなる(仮訳)」。

教皇はこのメッセージで、「語ること」をテーマに、破壊的ではなく建設的なストーリー、皆で前進するためのルーツと力を見出させる良いストーリーの真理に触れる必要を説いている。

「人間は語る存在である。人間は小さい時から、食べ物を必要とするように、話を必要としている」、「人は、自身の脆さを覆い、自分の生き方を守るために己を語ることを必要とする唯一の存在である」、「人間は、成長する存在ゆえに、語る存在でもあり、日々の物語を紡ぎながら人は豊かにされていく」と教皇はこのように指摘された。

一方で、「すべての語り(ストーリー)が良いものであるとは限らない。ストーリーが何らかの目的のために利用されている時は、その命は短く、それに対してそれが良いストーリーである場合は、それは時空を超えて残っていく」と記している。

聖書について教皇は、それは「多くのストーリーを集めた一つのストーリーであり、そこには実に様々な出来事、人々が登場する。聖書は、神が創造主であると同時に、語り手であることを示している」と述べている。

そして、「聖書は神と人類の間の偉大な愛のストーリーであり、その中心にはイエスがいる」「人は、世々に、この聖書の重要な出来事を『語り伝え、記憶に刻む』よう招かれている」と記し、神の語り、イエスの語りに耳を傾け、イエスと似た者に変容されていく必要を説いている。

キリストのストーリーは過去のものでなく、常に今日を生きるわたしたちのものである。人となられ、人の歴史に入って来られるまでに、人々を心にとめられる神のストーリーは、人間のストーリーで意味のないもの、小さいものは、一つもないこと、それぞれの人間のストーリーはかけがえのない尊厳を持っていることを語っている、とも、教皇は述べている。

「あなたがたは、キリストがわたしたちを用いてお書きになった手紙として公にされています」(2コリント3,3) と聖パウロが言うように、聖霊、神の愛は、わたしたちの中に記し、善を刻み、それを思い起こすようにと願われている、と教皇は説いている。

教皇は、「すべての偉大な物語が、わたしたちのストーリーに影響を及ぼすように、わたしたちは、自分たちを創り、救ってくれた愛を記憶に刻む時、わたしたち自身もページをめくり、自分の心を閉じ込めていたものから解放され、他者に心を開き、ストーリーの語り手である神のビジョンに自分を開かなくてはならない。」と述べると同時に、一方で「自分を主に語ることは、自分や他の人々への憐みにあふれたその愛の眼差しの中に入ること」とも記している。

教皇は、「神という偉大な語り手の眼差しをもって、わたしたちのそばにいる登場人物たち、わたしたちの兄弟姉妹たちに近づこう、なぜなら、誰もが世界のシーンの端役ではなく、それぞれのストーリーは変化の可能性に開かれているからである」と招いた。

そして「わたしたちが悪について語る時も、贖いのための余地を残し、悪に囲まれた中にも善のダイナミズムを見出せるように」と呼びかけている。

24 1月 2020, 17:29