教皇フランシスコとエストニア各界代表との出会い、首都タリン・大統領官邸庭園で 2018年9月25日 教皇フランシスコとエストニア各界代表との出会い、首都タリン・大統領官邸庭園で 2018年9月25日 

教皇、「エストニアが記憶と創生の地として発展するように」

教皇フランシスコは、エストニアで、大統領および各界要人とお会いになった。

9月22日から始まった教皇フランシスコのバルト3国訪問は、25日、最終日を迎えた。

同日午前、教皇はこの数日間を通して滞在と移動の基点としていた、リトアニアの首都ヴィリニュスを後にされ、最後の訪問国、エストニアへと向かわれた。

首都タリンに到着された教皇は、大統領官邸の前庭で、ケルスティ・カリユライド大統領と並び、歓迎式に臨まれた。

この後、教皇は、カリユライド大統領を官邸に表敬訪問し、個人会談を持たれた。

続いて、教皇は、官邸内の庭園に集ったエストニア各界代表および同国駐在の外交団に挨拶をおくられた。

エストニア南部からラトビアの北部と東部にかけて広がっていたかつてのリヴォニアは、「テッラ・マリアーナ」(マリアの地)と呼ばれていた。

同国の歴史と文化に影響を及ぼしたこの地名に言及された教皇は、聖母マリアとは、その人生で起きたことを大切に「すべて心に納める」(参照:ルカ2,19)、いわば「記憶をとどめる」女性であると同時に、御子イエスを胎にやどし、この世にもたらした、「生み出す」女性であったと述べた。

教皇は、こうして、かつての「テッラ・マリアーナ」が、「記憶」と「創生」の地となることを願われた。

エストニアが自由と独立のために戦い続けた、その苦しみに満ちた激動の歴史を振り返りつつ、教皇は、ソ連から独立回復後の、今日のエストニアの目覚ましい発展に注目。

特に同国が誇る革新的技術、報道の自由、政治上の民主主義と自由、多国間との友好と協力など、未来の希望を担う側面を挙げられた。

教皇は、エストニアが「記憶の地」として、このような今日の発展を支えた先人たちの努力と精神、信仰を思い、自由を取り戻すために戦ったすべての人々の歴史を見出すことができるようにと話された。

今日の発展した社会の中で、幸福とは必ずしも、安楽な生活を意味しないと述べた教皇は、テクノロジーに支配された社会の中で、人生の意味や喜び、驚きが失われ、他人や家族、社会や文化との関わりが希薄になっていくことを懸念。

技術進歩を唯一の発展の形とみなし、そこにすべての信頼を置くことは、人と人、世代間、社会における絆を築く力を失わせる危険があるとし、皆が参加し、生きた社会の絆を創生していくことを重要視された。

教皇は、エストニアが「創生の地」として、皆が「家」のように感じられる社会のネットワークを構築し、社会のそれぞれのメンバー、共同体が絆を深めながら、より良い未来を作り上げていくことに期待された。

25 9月 2018, 12:10