2022年平和旬間:「平和は可能です。平和は義務です。」
日本のカトリック教会は、広島への原爆投下の日(8月6日)から、長崎の被爆の日(8月9日)を経て、終戦の日(8月15日)までの10日間を、「平和旬間」とし、これらの出来事を深く記憶にとどめ、平和を祈り、平和について考え、語り、平和のために行動するよう招いている。
2022年の「平和旬間」を迎え、日本カトリック司教協議会会長・カトリック東京大司教の菊地功大司教は「平和は可能です。平和は義務です。」と題された談話を発表した。
菊地大司教は、今年の平和旬間を再び「新たないのちの危機の現実」の中で迎えることになったと述べ、教皇フランシスコが、このパンデミック危機からよりよい形で脱するために「調和のうちに結ばれた多様性と連帯」の必要を強調したにも関わらず、わたしたちが見たのは「対立と排除と暴虐」である、と記している。
「感染症によるいのちの危機に直面する世界では、戦争こそしてはならないはず」だが、「ウクライナへのロシアの武力侵攻は、平和を求めてこれまで積み重ねてきた国際社会の努力を踏みにじる大国の暴力的行動として世界に大きな衝撃を与え」た、と述べている。
「平和とは、単に争いがない状況のことではなく、争いが起こりうる社会のさまざまな要因を取り除き、互いが支え合いながらいのちを生きる状況のこと」であるが、「今世界は、暴力によって平和を獲得することを肯定する感情に流されてい」る、と談話は指摘している。
一方、戦争という大きな出来事の影で、「さまざまな理由から祖国を追われ避難の旅路にある人たち、経済状況からいのちをつなぐことが難しい人たち、政治や信条に対する迫害からいのちの危機に直面する人たち」など、「多くのいのちの危機」が忘れ去られている現状にも気づきを促している。
「兄弟姉妹の皆さん、キリストの平和において勝利を収めましょう。平和は可能です。平和は義務です。平和はすべての人が責任をもって第一に優先するべきものです」という教皇の呼びかけを繰り返しながら、菊地大司教の談話は、この平和旬間を機会に、「暴力によらない平和は可能だ」「連帯こそが平和を生み出すのだ」と、声を上げ行動するようにと招いている。